今年11月3日に実施される米国大統領選挙、再選を狙うトランプ大統領の不人気により、世論調査では対抗馬のバイデン候補にリードを許す展開となっています。

しかもコロナ禍にあって、失業率が高く経済立て直しに苦慮する「不況下での選挙」では、これまで再選を果たした大統領はいません。

その世界のリーダーを決める大統領選挙を控え、いま将来の株価変動率を表すVIX指数先物が上昇しているのです。

これからやって来る波乱の株式相場に、どうやって対処すれば良いのか検証してみます。

VIX指数先物から見る10月の株価乱高下

VIX指数からみる10月以降の株式

VIX指数とは、米国総合株式指数の一つであるS&P500の将来株価の変動率を表す指数です。

将来の株価が乱高下すると予想される局面では指数が上昇し、落ち着いた局面では低位安定する傾向があり、「恐怖指数」とも呼ばれています。

そのVIX指数先物が大統領選挙に向けて上昇しているので、波乱の株式相場となりそうです。

しかも今年3月のコロナショック時より高い予想変動率となって、3月の底値で買えなかった人も年内最後の投資チャンスがやって来るかもしれません。

では相場の波を捉え、年末までを乗り切る想定シナリオを見ていきましょう。

これから波乱が予想される米国株式市場

こちらの表は、VIX指数の先物(2020.9.14時点)を一覧にしました。

現在(9/14時点)は25.85のVIX指数が10/21期限の先物(VXV20)では31.35と10月末に向けて上昇しているのが分かります。

11月以降の先物は、30またはそれ未満と低下傾向にあることも見て取れます。

シカゴオプションで傾向をみる
≪画像元:CBOE(シカゴ・オプション取引所)より抜粋(2020.9.14時点)≫

しかもその予想変動率は、3月のコロナショックを一時上回る高さとなっています。

なお予想変動率の高さは株価下落だけを指すのではなく、上下動が大きいことを指します。

上下の動きが大きいことを表す
≪画像元:Cboe

大統領選挙直前の予想変動率が最も高く、イベント終了後は落ち着きを取り戻す株式相場が予想されているということです。

その前提に立てば、10月に仕込んでその後の株価上昇を期待する戦略が考えられます。

では、イベント終了後の年末ラリー(株価上昇)は期待できるのでしょうか。

年末ラリーが期待される理由

もちろんコロナ感染拡大の第二・第三派が来れば、米国のみならず世界中の経済がまた停滞することはあります。

しかしロックダウンまでの強硬な対策を取る必要が出るかは分かりませんが、ワクチンや治療薬の開発が急ピッチで進んでいることを考えると、

経済と感染対策の両立を図る方針を世界中が選択する可能性は高い

と推測します。

そんな綱渡りの対応が必要な中、米国中央銀行であるFRBの金融緩和継続が、年末ラリーを期待する最も大きな理由です。

3月のコロナショックから最高値更新まで急回復した米国株式相場ですが、経済対策はもちろんのこと、FRBによる金融緩和策がその原動力になっています。

FRBによる金融緩和策がその原動力
筆者作成(2020.1~8までの毎水曜日終値)

参照:FREDおよびInvesting.com

相場の格言に、

「FED(FRBのこと)に逆らうな」

というものがあります。

米国の中央銀行という立場で政策を実行するのですから、米ドル相場含め世界中のお金に大きな影響を与えるキーマンです。

そのFRBが数年に渡る金融緩和策を打ち出しており、市場にお金を供給し続けています。(表のバランスシート残高が増加、それに呼応して株価が回復)

一部では過剰とまで言われるぐらいの資金供給が縮小されるまでは、経済のみならず株式相場も支えてくれることでしょう。

これは日米ともに年末までと言わず、来年にかけても続く力強い政策です。

どちらが勝っても、仕込んでおきたい業種

今度はIT企業に期待

大統領選挙の勝敗に関わらず、イベント終了後の年末ラリーに向けて10月に買っておきたい業種とは。

代表格は、IT系企業です。

ウィズコロナ時代にあって、GAFAMを始めとする勝ち組であるIT系企業にはお金が集まり、鉄鋼や銀行など負け組には集まらない「K字」型の株価推移が発生しています。

この傾向は来年以降も続く見込みで、コロナ時代の新様式として常態化しそうです。

日本でも菅新首相誕生により、デジタル庁新設が取沙汰されています。

負け組業種が復活するタイミングで投資するという手法もありますが、デジタル化への流れは時代の要請であり数十年に1度の転換期だと考えられます。

<9月②世界中の投資資金を集める米国NASDAQ100の魅力とは>の記事リンク

バイデン勝利の時、今から買っておきたい業種2選

もしバイデン勝利に賭けるとしたら、どんな業種が良いでしょうか。

現政権と大きく異なる政策は、自身が副大統領時代に作った国民皆保険制度(通称オバマケア)の復活です。

そこではヘルスケア業界が、大きく買われるでしょう。

また中国との関税競争は取り下げ、国際貿易を活発化することで経済回復を目指すことも検討されています。

そこではコンテナ船など、海の物流を担う海運企業が買われるでしょう。

特に海運企業は、コロナショックの負け組に位置するため上昇率は大きいと思われます。

買っておいてはいけないのが、石油・エネルギー業界です。

バイデン候補はパリ協定への復帰や、温暖化対策への取組みに積極的です。

現トランプ大統領の政策方針を180度撤回するので、この業種は注意です。

コロナウィルスというやっかいな感染症が、通常は数十年かかる生活様式の変化を一気に進めてしまった感があります。

米国株式相場の動向は日本株式の動向に直結・連動しますので、波に乗り遅れないよう、ここ数か月でしっかり仕込んで相場の恩恵を受けましょう。(執筆者:銀行・証券・保険業界に精通するシニアプライベートバンカー 中野 徹)