今年も残すところあと3か月となりました。
株主優待投資家の方は、そろそろ12月の株主優待のどれを取得しようかと考え始める頃かと思います。
悩みどころなのが、人気の株主優待銘柄は権利前ギリギリに買うと高値圏のことがあり、権利確定後に急落するリスクが大きいということです。
このことについては以前の記事で検証しています。
以前の記事で「買い時」について簡単に書きましたが、今回は「買い時」をさらに検証します。
具体的には「今(10月)が買い時の銘柄はどれなのか」、12月の人気株主優待銘柄の過去5年の10月~12月の株価を検証して12月に向けて株価が上昇しやすい銘柄を探しました。
目次
市場全体の株価騰落率平均
今回の検証にあたり、TOPIXの過去5年の10月~12月株価騰落率平均(以下、株価騰落率平均)を目安にします。
TOPIXの株価騰落率平均は3.4%でした。
市場全体としても、10月~12月は株価が上昇しやすい期間と言え、先回り買いするメリットはあります。
では、さっそく株価騰落率平均が高い銘柄を見ていきましょう。
1. バリューHR(6078)

【株主優待内容】
バリューカフェテリアの年会費無料、および株数に応じてカフェテリアポイントを贈呈
【過去5年の10~12月株価騰落率】平均11.8%
バリューHRは過去5年中3年、株価騰落率平均が20%を超えています。
株価に強さがある理由として次の2点が挙げられます。
1点目は、バリューHRが増収増益を続ける優良成長株であることです。
コロナ禍の2020年12月期予想も売上と営業利益は増収増益を見込んでいて、足元の業績も好調です。
2点目は、バリューHRの株主優待が、株数に応じて増額されることにあります。
贈呈基準は以下の通りです。

もっとカフェテリアポイントが欲しい個人投資家が権利確定までに買増しに動いているのでしょう。
今年も底堅い株価が予想されますが、2018年の株価騰落率平均はマイナス27%と大幅下落した年もあるので、必ず株価が上昇するわけではありません。
2. フジオフードシステム(2752)

【株主優待内容】株数に応じて株主様ご優待商品を贈呈
【過去5年の10~12月株価騰落率】平均9.1%
フジオフードシステムの株価騰落率平均が高い理由として、貸借銘柄でなく、いわゆる「株主優待クロス取引」ができないことがあります。
正確には各証券会社の一般信用取引を利用すればできますが、人気株主優待銘柄は在庫が少なく株主優待クロス取引がやりづらいため、考慮しなくてよいでしょう。
株主優待クロス取引とは、株価の下落リスクをなくして株主優待を取得する手法のことです。
ここでは詳細は省略させていただきます。
株主優待クロス取引がやりづらいため、フジオフードシステムの株主優待が欲しい方は現物を保有するしかなく、10月~12月に株価が上昇しやすいのでしょう。
さらにフジオフードシステムの株主優待利回りは4%と高いため、人気化しやすい面もあります。
注意点としては2020年12月期の業績予想が赤字であることです。
この点は串家物語などで「GoTo Eat」効果が見込めるので、業績予想より良い決算が出る可能性は高いでしょう。
3. ホットランド(3196)

【過去5年の10月~12月株価騰落率】平均7.6%
ホットランドの株価騰落率平均が高い理由として、株主優待クロス取引をした投資家が株主優待金額を超える高い逆日歩を払ったことが影響していると考えます。
逆日歩とは、株のレンタル料のことだと思ってください。
株主優待クロス取引には現物株とその株の空売りが必要なため、株を借りてきて売る必要があります。
過去に痛い目にあった投資家が、今後は株主優待クロス取引を止めて権利日の前に株を買おうと考えてもおかしくはありません。
注意点は、2020年12月期の業績予想が未定であることです。
第2四半期単体の営業利益が3.8億円の赤字であり、今期業績も大きく減収減益になるかもしれません。
しかし、ホットランドの主力業態が「築地銀だこ」でテイクアウトに強く、飲食銘柄の中では相対的に良い業績が見込めることでしょう。
先回り買いすべき株主優待銘柄
先回り買いすべき株主優待銘柄についてまとめると次の通りです。
・ 株主優待クロス取引がやりづらい銘柄であること
この2点から、他の月でも株主優待銘柄で先回り買いすべき銘柄を探してみてはいかがでしょうか。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)