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【資産形成】20年で500万円以上の差 「積立型保険」VS「掛け捨て保険+投資信託」を具体例で解説

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【資産形成】20年で500万円以上の差 「積立型保険」VS「掛け捨て保険+投資信託」を具体例で解説

FP個別相談のテーマでとても多いのが「保険の見直し」と「資産運用の方法」です。

米ドル建ての終身保険、養老保険、個人年金保険を資産形成の手段としてきた方の多くが、近年は「つみたてNISA」や「iDeCo」といった投資で資産作りをする方法を知り始めています。

FP業務では、

「投資信託で運用すれば保険よりも高いリターンが期待できると思うのだが、保険の保障も捨てきれない。どうしたらよいものか」

という相談をよく受けます。

このような悩みを抱えている方のために、「掛け捨て保険」と「投資信託」を併用することで保障と運用を両立する方法を解説します。

【資産形成】20年で500万円以上の差「積立型保険」VS「掛け捨て保険+投資信託併用」

死亡保障は「収入保障保険」で考える

実は、終身保険や養老保険、個人年金保険などの積み立て型の保険には、

その掛け金から保障分の保険料や各種費用が引かれているため、「投資信託」などの資産形成を専門とした商品より運用効率が悪くなる

という傾向があります。

外見からは分かかりませんが、

「積み立て型保険」は、掛け捨て保険的な「保障の部分」と「資産の積み立て」の部分が2階建て

になっています。

これが「投資信託」等に比べて「積み立て型の保険」の運用成果が劣る理由です。

保障金額を掛け捨て保険で確保する

「そんなことはわかっているけど、今の保険を解約すると保障がなくなるのが不安で、保険から投信への切り替えは簡単には決断できない」

という方は少なくありません。

この場合には、まず、必要な保障金額を掛け捨て保険で確保する仕組みを考えることが大切です。

たとえば、35歳のAさんが「0歳の子供が20歳になるまでの今後20年間は、遺族に2,000万円を残したい。」という希望を持っていたとします。

この場合、Aさんの死亡保障は次のように「収入保障保険」で準備できます。

「収入保障保険」の事例

【期間】35歳~55歳まで20年間

【月額保険料】3,000円

【死亡保障】
月8.4万円が55歳まで20年間支払われる

【当初保険金額】
55歳までの合計額で2,016万円

【5年経過時点保険金額】
同1,512万円

【10年経過時点保険金額】
同1,008万円

【15年経過以降保険金額】
同504万円(年金支払い保証)

【年金支払保証】5年

【20年間の払込総額】
72万円(1,500円 × 20年分)

「収入保障保険」は毎月合計の保障金額が減っていく代わりに、定期保険等よりも保険料が安い傾向にあります。

月数千円程度の掛け金で、数千万円の保障を確保できます

数千万円の保障を「積み立て型の保険」で確保しようとすると保険料が高くなりすぎるので、家計の収支が悪化した場合に保険料を支払えなくなるリスクが生じます。

「積み立て型の保険」は、払い込みの途中で解約すると元本割れするリスクが非常に高くなります

「掛けた分が返ってくる」という言葉が魅力的で「積み立て型の保険」に加入する方は少なくありませんが、「掛け捨て型の保険」と比較すると

・ 保障額が保険料の割に少ない

・ 長期間支払いの義務に縛られる

ことに留意することが大切です。

長期間支払いの義務に縛られる

生存している場合の資産運用商品の積立額を計算する

35歳~55歳の間に死亡する確率は高くはありません。

Aさんの身に何も起きず無事に生存している場合にも2,000万円を確保する準備が必要です。

損益を分けて考えるために、次のような考え方をしてみます。

資産運用事例

【毎月の積立金額】8.4万円

【5年経過後積立金額】
504万円 + 運用損益

【10年経過後積立金額】
1,008万円 + 運用損益

【15年経過後積立金額】
1,512万円 + 運用損益

【20年経過後積立金額】
2,016万円 + 運用損益(保険は終了)

例えば、Aさんが15年経過時点で亡くなったとします。

その場合に遺族に残る資産は次の通りです。

遺族に残る資産

「収入保障保険」15年経過時点の保険金:504万円

資産運用15年経過時点の積立金額:1,512万円 + 運用損益

合計:2,016万円 + 運用損益

5年経過時点、20年経過時点で同じような計算をしても、絶えず2,000万円を確保できていることが分かります。

「収入保障保険」の保障額が年々減っていく分を運用資産の積み上げで埋め合わせている形です。

Aさんの身に20年間何もなかった場合にも、このペースで積み立てていけば2,000万円以上の資産を確保できる計算です。

期待収益と保障を合わせて比較する

ただし、これだけでは「積み立て型保険」を解約して、「収入保障保険」と「投資信託」の併用のプランにするのがよいとは言い切れません。

「積み立て型の保険」と「収入保障保険と投資信託の併用プラン」の実際の経済的合理性を比較する必要があります。

「積み立て型の保険」の20年後の解約返戻金額

まずは、「積み立て型の保険」の20年後の解約返戻率を見てみましょう。

仮に20年後の解約返戻率が払い込み保険料の110%だとします。

つまり、この時点の利益はトータルで10%ということです。

仮に月に8万4,000円の保険料を払っていたら、20年間の積立合計額は2,016万円になり、その110%は2,217万6,000円です。

「投資信託」積み立て運用結果の金額

一方で、「投資信託」を毎月8万4,000円積み立てながら年率3%で20年間複利運用すると資産は約2,752万6,000円(千円以下切り捨て)になります。

月8万4,000円の積み立てケースで比較した場合、

「積み立て型の保険」と年率3%の期待運用収益がある「投資信託」とでは、500万円以上の利益の差が生じる

ということです。

掛け捨て保険である「収入保障保険」の保険料20年分の72万円を差し引いても「収入保障保険と投資信託の併用プラン」は「積み立て型の保険」の運用収益を上回るということです。

税金と不確実性に注意

税金と不確実性に注意

ここまでの計算を見ると、「積み立て型の保険」を解約して「収入保障保険」と「投資信託」の併用をしたほうがよいいように見えます。

しかし、前述の計算では計算過程を分かりやすくするために、税金を考慮していません

「積み立て型の保険」の解約返戻金が利益になった場合には、一時所得として総合課税の対象になります。

一時所得の場合は50万円までの特別控除を所得から引けるうえに、総合課税に加算されるのは50万円を引いた後の所得金額の1/2です。

「投資信託」の場合には譲渡所得に20.315%の税金がかかりますが、「つみたてNISA」を利用すれば年間40万円まで、20年間の合計で800万円までの投資枠分が非課税で運用できます。

実際に検討を進められる際には、このような税制を考慮する必要があります。

また、先述した「投資信託」による年間の利益率が3%というのはあくまでも仮の数字です。

実際の投資判断の際には過去の実績から推測するしかありませんので、どのようなリスクでどのようなリターンを得られたのかをよく分析する必要があります。

最終的には不確実性を考慮して判断するしかない

ここまで見てきた通り、保険には「死亡リスク」という不確実性があり、資産運用には、「本当に期待通りのリターンが得られるのか」という不確実性があります。

「積み立て型の保険」のみで資産形成をする場合、期待リターンを捨てて死亡リスクへの備えに偏重した選択をしている

ということになります。

一方で、

「収入保障保険と投資信託を併用するプラン」は、死亡リスクに備えて価格変動リスクを取ることで期待リターンも高めるという両取りをしている

ことになります。

併用プランのほうが検討の難しさはあります。

増えるかどうか分からない資産運用で、少なくとも「掛け捨て保険」の保険料分くらいは取り返さなければならないというプレッシャーもあります。

しかし、資産運用の世界では長期運用の結果、平均で年率3%程度のリターンを得ている人は、さほど珍しくありません。

国内外の株式市場に分散投資をしていれば、3%どころかもっと高いリターンを得られているケースもあります。

不確実性から目を背けると、大きな利益を取りっぱぐれてしまうことがあります。

世界的な低金利のトレンドが続く可能性もあるため、リスクとの上手な付き合い方を身につけていきましょう。(執筆者:1000人以上に資産運用アドバイス 遠藤 功二)

《遠藤 功二》
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遠藤 功二

遠藤 功二

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し金融機関に就職。 証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当したが、雇われFPとして働くことに限界を感じる。FP資格やMBAをとっても、会社にお金で縛られていたら何もできない。「お金のためだけに働くつまらない生き方を他の人たちにはさせたくない。」という志をもち、お金が原因で不幸になる人を少しでも減らすべく、教育特化のFPとして奔走中。 寄稿者にメッセージを送る

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