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所得1,000万円以下で40平米以上に拡大される13年間の住宅ローン控除 令和3年度税制改正を解説

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所得1,000万円以下で40平米以上に拡大される13年間の住宅ローン控除 令和3年度税制改正を解説

今後の税を左右する令和3年度(2021年度)与党税制改正大綱が令和2年(2020年)12月10日に決定されましたが、個人所得税の改正で比較的大きなものが住宅ローン控除です。

この日は東京都で過去にない600人台の新型コロナ感染者数が確認されましたが、続くコロナ禍において住宅取得を促進するため、時限措置の期限延長や小規模物件への拡大などの改正が盛り込まれました。

13年間控除の対象期間を延長へ

控除の対象を13年間に延長する

住宅ローン控除と言えば10年間受けられるという話が有名ですが、消費税率8%から10%に増税した際に、一定の要件を満たすと13年間の住宅ローン控除を受けられるようになりました。

現行制度

当初の改正では、消費税10%で住宅を取得し、令和元年10月~2年12月に居住開始した場合には13年間が適用されることになっていました。

11年目以降の所得税控除額は

・建物価格(消費税抜、4,000万円を限度)×2% ÷ 3

・10年目までと同じ額(年末ローン残高の1%・上限40万円)

のうちいずれか低いほうです。

なおコロナの影響で新築工事が遅れた場合は、居住開始は令和3年まででも可能ですが、契約は下記の年月までに行う必要がありました。

・ 注文住宅の新築:令和2年9月

・ 分譲・中古住宅の取得、増改築等:令和2年11月

期限延長の方向性

令和2年12月までとなっている13年間控除の居住開始時期ですが、購入契約の年月が下記の期間内に該当する場合、令和4年12月まで延長される方向です。

・ 注文住宅の新築:令和2年10月~3年9月

・ 分譲・中古住宅の取得、増改築等:令和2年12月~3年11月

なお以下説明する床面積50平米未満の物件を取得して13年間の控除を受ける場合も、上記の期間内に契約する必要があります。

「50平米以上」の要件は「40平米以上」へ

住宅ローンを使って住まいを購入しても、税額控除を受けられないケースもあります。その1つが、床面積50平米(平方メートル)未満の小規模マンションなどを購入した場合です。

小規模住宅をローンで取得するケースが増えていることから、時限的な優遇措置である13年間控除の要件を満たす場合は、床面積40平米以上でもローン控除を使えるように改正される方向です。

40平米~50平米未満は1,000万円以下の所得制限

住宅ローン控除が対象外になってしまう他の要因として、合計所得金額3,000万円以下とされている所得制限があります。

平成30年からは配偶者控除に1,000万円以下、令和2年からは基礎控除に2,500万円以下という所得制限が課されましたが、住宅ローン控除にはもう少し高い所得制限があります。

13年間控除を受けるために40平米以上50平米未満の物件を購入した場合は、合計所得金額1,000万円超の年は住宅ローン控除を利用できなくする方向です。

新設された1000万円以下の所得制限の表
≪表:新設の1,000万円以下所得制限≫

高所得者が住宅ローン控除を利用し終えてから、投資用に転用するのを防ぐ狙いがあります。

令和4年度改正で控除率1%未満の利息相当額限度へ

ところで会計検査院からは、平成21年以降の居住開始で適用されてきた1%の控除率が過大ではないかという指摘がされています。

住宅ローン控除を利息分の補助と考えると、1%未満の低金利時代には住宅ローン控除で利払い以上の還付が得られることもありえます。

居住開始年に応じて20~50万円の控除額上限が設定されているため、住宅ローン控除で必ず利息を超えて得するとは言い切れないのですが、1%という控除率を引き下げることが検討されました。

コロナ禍で今回は引き下げるわけにいかなかったのでしょうが、翌年度の令和4年度税制改正において、住宅ローン控除額の上限を利息相当額とすることが予想されます。(執筆者:石谷 彰彦)

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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