菅政権が検討する政策の1つに、不妊治療の保険適用や助成措置の拡充があります。

まずは、現行の助成措置を大幅に拡充することから動き出しました。

今回は、そもそも不妊治療費はどのくらいかかるのか、マネープランについても確認していきたいと思います。

体外受精なら1回60万円も!負担も大きい不妊治療

不妊治療にはいくつかの選択肢があり、原因や体への負担などを考慮して段階を踏んで治療を進めていきます。

主に「タイミング法」「排卵誘発法」「人工授精」「体外受精」「顕微授精」があります。

表1

このなかで、タイミング法や排卵誘発法には保険が適用されますが、人工授精、体外受精、顕微授精は保険が適用にならない自由診療です。

人工授精の場合には1回数万円なので生活費の節約で費用の捻出は可能ですが、体外受精や顕微授精の場合には負担感もぐんと増します。

関東圏のある病院では体外受精には約60万円かかるそうです。

助成措置の拡充とは?自治体の支援事業も確認

先述したとおり、現行の助成措置の大幅拡充が決まりました。

令和2年度第3次補正予算として1月28日に国会で承認され、令和3年1月から3月の拡充分および、令和3年度12か月分について計上されました。

対象の治療は「特定不妊治療」と言われている「体外受精」と「顕微授精」です。

これまでは夫婦の所得制限が設けられていましたが、それが撤廃されました。1回あたりの助成金額も増えるなど、これまでと比べて条件や内容が緩やかになっています。

表2

なお、対象は令和3年1月1日以降に終了となった治療に限られているので、ご注意ください。

また、今回の措置を受けて、自治体の助成措置の見直しも検討されています。

筆者の住む札幌市では、これまで1回の治療期間に行った「対象となる検査および治療」に対して支払った費用につき、10万円を限度に助成金が支払われていました。

今回の拡充をきっかけに札幌市も見直しを検討しているようなので、注目しているところです。皆さんのお住まいの地域についても確認しておくとよいことでしょう。

不妊治療で収入減!だからこそ大切なマネープラン

夫婦で協力しあっていく

筆者の家計相談客の中にも、不妊治療中あるいは治療の経験があるという方が一定数いらっしゃいます。

正社員としての働き方をあきらめている奥さまも少なくありません。治療は精神的にも肉体的にも負担が重く、さらに、通院にも時間を取られるという理由があるからです。

聞くところによると、体外受精の場合、1周期あたり10~15回程度の通院が必要になることもあるようです。

それも3時間ほど病院に留まることもあるため、ある程度自由のきくパートという働き方を選択せざるを得ないと考えているそうです。

治療前と比べて収入が減った分、なかなか貯蓄ができず、子を授かった後の家計に不安を感じているという方もいらっしゃいます。

さらには、晩婚化が進んで子どもを希望する夫婦の年齢も高くなってきているため、「定年退職までに教育資金を準備できない」「老後資金の準備が間に合わない」というケースも見てきております。

だからこそ、治療と並行しながら将来のマネープランを立てることが大切です。子どもを授かる前から教育資金の準備をしていきましょう。

一般的には、

子どもが高校を卒業する頃までに400~500万円の教育資金があると安心

だと言われています。

教育費として使うことがなかった分は老後の生活費に充てられますから、早めに準備しておくに越したことはありません。

老後のお金の準備がしやすい「iDeCo(個人型確定拠出年金)」という仕組みもあるので、少額からでも積み立てていくこともおすすめします。

不妊治療には多額の費用がかかるからこそ、マネープランを立てて夫婦で協力しあっていくことが大切です。この機会に考えてみましょう。(執筆者:CFP 横井 規子)