住宅ローンに関する記事は毎日、数多くネットで見かけます。

とくに新しい生活様式が定着しつつある最近では、住宅ローンについて見直す、考え直す内容も多くなっています。

記事執筆のため、ほかの人の記事やサイト上の意見、いわゆる口コミも参考にしていますが、なかには

「ある意味当たっているけれど、少し違った見方もできるのでは?」

「その考えは、ちょっと極論すぎるのでは?」

と感じてしまうものもあります。

あまりネガティブな表現や記述ばかり見ていると、「住宅ローンを借りるのはいけないことなの?」と迷う人がいるかもしれません。

そこで今回は、住宅ローンに関するいろいろな声について、銀行員がお答えします。

住宅ローンへのいろいろな声に銀行員がモノ申す

ここからは、私が見かけたなかで触れてみたいキーワードを紹介します。

1. そんなに借りなくても

借りれるだけ借りても悪くはないよ
「不動産を購入するときの頭金まで借りなくても、それくらい準備しなきゃだめでしょ」

「諸費用までローンで借りるくらいなら、もっと自己資金が貯まるまでがまんしたら?」

住宅ローンでどこまで借りるか、自己資金はどのくらいあるのが理想かといった問題です。

借入れは少ないほうがいいのですが、住宅購入にはいろいろな経費がかかります

とくに建売住宅、や分譲マンションなどを購入するときは、契約をむすぶとき、購入額の10%程度を頭金として払う場合があります。

頭金は手持ちの自己資金で支払うこともありますが、住宅ローンに頭金まで含め借りることも可能で、当然ながら借入金額は頭金のぶんだけ多くなります

フルローン、オーバーローンはもともと不動産投資の用語

物件購入の頭金までローンで借りることをフルローンと呼びます。

いっぽう頭金だけでなく登記費用などの諸経費まで借りるのはオーバーローンです。

借入れは少ないほうが理想、といった観点でこうしたフルローンやオーバーローンに対する否定的な記事やコメントを見かけます。

フルローンやオーバーローンという単語は、もともと不動産投資、賃貸経営で用いられていたものです。

家賃収入で利益を上げる不動産投資では、借入れ=投資額は少ないほど投資効果(利回り)は良くなるので、フルローンなどには否定的になります。

これを住宅ローンにも当てはめると、冒頭のような声になるのだと思います。

一度購入したら、原則としてずっと住み続づけるのが自宅ですので、最初から売却や利回りを考えるのは無理があります

繰り返しになりますが、

借入れは少ないほうがいい

に決まっています。

しかし、住宅ローンではフルローン、オーバーローンもいけないことではないと銀行員は考えます。

2. ふたりそろって借りなくても

「ひとりの収入で足りないから、ふたりそろって借りるのは、スタートでもうムリでは?」

「ペアローンを組む人は、絶対に別れないと自信があるんですね」

ペアローン:ローンの契約や返済など、A、Bそれぞれ別のローンを2つ、ペアを組んで借りる

連帯債務:ローン契約から書類は2人が連署し、どちらか1人の口座から返済が引き落とされる

ひとりだけでなく、2名で同時に借りるこれらのローンでは、関係が破綻したときに問題が生じる可能性があります。

別れるのは自由だけど注意は必要

ペアローンでも連帯債務でも、確かにローンを組んだふたりの関係がこわれると大変です。

「婚約者同士でペアローンを組んだが、婚約破棄になってしまった。新居とする予定だった物件にはふたりとも住むつもりはないが、すぐに売れないしローンを返す自己資金もない」

「夫婦連帯債務で家を建てたが、離婚して新しい家庭を持った相手が、今もローンを返し続けている」

これは実際に私が銀行で見聞きしたケースですが、人間関係や人生の悲喜こもごも、がからむので揶揄するような記述さえ見受けられます。

離婚した後どうするのかはか考えよう

よくある住宅ローンでも問題点は同じ

ペアローンだから、連帯債務だからといった特徴ではありません。

よくある形式のローンでも返済に困ったり、保証人になっている夫婦関係がもつれてトラブルになったりと、問題点は同じです。

住宅ローンの借りかたのひとつとして確立されているペアローン、連帯債務はいけないことではありません。

ローンを借りていても別れるのは個人の自由意志で決めるものですが、別れたあとの問題点はしっかり考えたうえで決めるべきです。

住宅ローンが悪いことではない

価値観の多様化や社会の変化により、最近ではLBGT、同性パートナー同志のローンを扱う銀行も増えています。

以前ならペアローン、連帯債務といった名称の前に「夫婦連帯債務」などと呼ぶのが一般的でしたので、時代の変化を感じます。

しかし、そうした変化はあっても、自分が住む家を手に入れる住宅ローンはほかの借入れ、融資とは一線を画した特別なものであり、今後もそうあり続けると考えられます。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)