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【法改正】傷病手当金支給期間の通算化について解説 退職日当日の勤務で「受給要件」満たせず

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【法改正】傷病手当金支給期間の通算化について解説 退職日当日の勤務で「受給要件」満たせず

私傷病により継続して4日以上働けなくなった場合に健康保険から支給される「傷病手当金」があります。

傷病手当金について、2022年1月1日から改正が行われます。内容としてはより弾力的に傷病手当金を受け取ることができるようになりますが、どのような改正がおこなわれるのか確認していきましょう。

現行の傷病手当金

私傷病により継続して4日以上働けなくなった場合に「支給を始めた日から」1年6か月を経過する日まで支給対象となります。

これは1年6か月分受給できるということではなく、途中に出勤できる状態になった場合には不支給となります。

支給を始めた日から1年6か月が経過した場合には、1年6か月後に同じ疾病が生じたとしても不支給ということです。

改正後の傷病手当金

「支給期間を通算して1年6か月経過時点まで支給」となります。例えばがんの治療などで入退院を繰り返す場合には長期間の病気療養生活が予想されます。

途中に出勤可能な状態になった場合には「支給を始め日」は変わることはありませんので、その期間分は消えてしまいます。

今回の法改正によって支給できる期間のみを通算化できることとなるので、改正前よりも受給可能期間が延びるということです。

傷病手当金支給期間の通算化

傷病手当金の誤解

傷病手当金は非課税であることから、長期療養などのため、その年は傷病手当金のみ受給ということであれば、確定申告は不要です(他の副収入などがあった場合は必要)。

傷病手当金は退職後であっても支給される場合があります。要件として退職日以前に1年間の被保険者期間(端的には健康保険に加入している期間)が必要です。

この要件を満たすと「資格喪失後の継続給付」として退職後であっても受給可能です。

退所後に働けるような状態になった場合は当然打ち切りとなります。健康保険の任意継続被保険者となり、初めて働けなくなった場合には対象となりません(資格喪失時点から継続していないことから)。

また、在職中から働けなくなり、療養に専念するために退職を決断した場合を想定します。その場合に

「退職日に出勤すると傷病手当金はどうなるのか?」

という相談を受けます。

「資格喪失後の継続給付」は「資格を喪失した際に傷病手当金を受けている(または受ける条件を満たしている)」ということです。

この条件を満たしていると退職後も傷病手当金を受給できます(1年間の被保険者期間は必要)。

注意点

退職日当日に出勤し、働くことでその日は傷病手当金の受給要件を満たしません

その日1日だけの問題ではなくなり、継続給付の対象からも外れてしまいます

これは資格喪失の際に傷病手当金を受けていないという理屈になるからです。

職場に対してこれまでの感謝の気持ちを表す意味で挨拶に行くということであれば、通常働いたということにはなりません。

傷病手当金の待期期間

傷病手当金を受けるための要件として労務不能の状態が継続3日であることがあります(4日目~支給)。

待期期間は会社所定の休日であっても有給休暇を取得した日であってもカウントされますが「継続」してということは、「通算」よりも要件が狭いという点を認識しなければなりません。

例えば月曜日~水曜日であれば「継続」していますが、月曜日、火曜日、木曜日となると、継続しているのは月曜日~火曜日の2日間ということにあり、待期期間を満たしていないという理屈です。

連続していかないとダメヨ

原則、要申請

近年は有給休暇の積極的な取得促進や有給の病気休暇を設ける企業も増えてきましたが、傷病手当金は万が一に備えて認識を深めておくべきです。

どの社会保険制度にも共通していますが、原則として申請しなければ受給はできません

また、傷病手当金の時効消滅は労務不能となった日ごとにその翌日から起算して2年間です。

日ごとに時効消滅が進む点も併せておさえておきましょう。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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