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長期間の休業時の補償について 就業不能(長期所得補償)保険は必要か

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長期間の休業時の補償について 就業不能(長期所得補償)保険は必要か

生命保険の加入を考える時に、死亡保険と医療保険(入院)、そしてがん保険の3つを検討される方が多いと思います。

しかし、長期間自宅で療養しなければならない時にはこれらの3つの保険では保険金(給付金)が受け取れず、備えの盲点になっています。

では、長期間の休業時の備えについては、どこまで考える必要があるのでしょうか。

就業不能(長期所得補償)保険について

就業不能(所得補償)保険とは?

まずは就業不能保険の内容について解説いたします。

保障(補償)内容

生命保険会社にて販売されているのが「就業不能保険」、損害保険会社にて販売されているものが「所得補償保険」と呼ばれていますが、どちらも病気やけがにより長期間、働けない状況になった場合に給付金が支払われる保険です。

したがって、会社の倒産などにより失業した場合には、病気やけがによる事由ではありませんので、この保険の給付対象外になります。

万が一の時に受け取ることができる給付金ですが、受け取れる期間や金額、免責期間(支払事由に該当した場合でも保障の対象とはならない期間)はそれぞれ保険会社の商品によって異なります

就業不能保険(生命保険会社)では、受け取れる期間は免責期間を除く保険金の支払事由が発生した時から60歳まで、保険金額は前年の年収に応じた上限額のうち10万円~50万円で設定する、免責期間は60日などのパターンがあります。

一方で、所得補償保険(損害保険会社)では、受け取れる期間は免責期間を除く保険金の支払事由が発生した時から最長2年までのパターン(短期補償タイプ)と60歳までのパターン(長期補償タイプ)、保険金額は前年の年収に応じた上限額のうち50%~70%で設定する、免責期間は4日~最長1年または1年6か月などのパターンがあります。

それ以外にも就業不能状態(働けなくなった時の状態)の定義も保険会社によって異なりますが、入院や在宅療養(医師の指示に基づき、自宅等で治療に専念)、国民年金法施行令に定める障害等級1級または2級の状況を定義としているパターンもあります。

次に、注意すべき点ですが、精神疾患(うつ病など)により就業不能状態になった場合は、保障の対象外または支払期間が短縮される場合が多いので、加入前に必ず確認しておく必要があります。

収入保障保険との違い

所得補償保険とよく似た名称の保険で「収入保障保険」があります。

ただし、名称がよく似ているだけで、保障(補償)内容は全く異なります。

収入保障保険では、被保険者(保険の対象者)が死亡または高度障害になった時に保険金が支払われる保険で、死亡保険に該当します。

したがって、病気やケガにより長期間、働けない状況になった場合の備えではありませんので、注意が必要です。

検討の前に健康保険制度の傷病手当金の理解を

生命保険の加入を考える時には、死亡保険と医療保険(入院)も含めて、社会保険の制度内容を確認しておく必要があります。

社会保険からの給付内容だけでは不足する場合に、それを補う形で民間の生命保険に加入することになります

その手順を踏まなければ、保障額が過大になってしまいます。

働けなくなった場合の社会保険制度ですが、会社員などが加入している健康保険制度には「傷病手当金」があります。

傷病手当金が支給される条件

 

傷病手当金は、次の (1) から (4) の条件をすべて満たしたときに支給されます

(1) 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

自宅療養の期間についても支給対象。

なお、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外。

(2) 仕事に就くことができないこと

(3) 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。

待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。

(4) 休業した期間について給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。

ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

【支給される期間】

支給開始した日から最長1年6か月

支給開始後1年6か月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

(全国健康保険協会「協会けんぽ」ホームページより一部抜粋)

傷病手当金の理解をしておこう

支給される傷病手当金の額

1日あたりの金額:【支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額】÷ 30日 × (2/3)

※給料(月給)の3分の2が一応の目安

加入している健康保険制度が会社独自で運営している健康保険組合の場合、上記の傷病手当金の給付内容の上乗せや給付期間も長い場合がありますので、ご確認ください。

なお、個人事業主が加入している市区町村が運営している国民健康保険制度では「傷病手当金」制度はありません

1年6か月経過後も病気やけがで働けない場合には、国民年金または厚生年金の障害年金の適用要件に該当する場合、障害年金の受給ができます

なお、障害年金の審査から受給の確定、障害年金の受け取りまで5か月程度が必要ですので、1年6か月経過後のことも見越しておく必要があります。

就業不能(長期所得補償)保険が必要な場合はこんな人

病気やけがで長期間、働けない場合の備えは、万が一の時の安心にもつながります。

一方で、健康保険制度の傷病手当金、就業不能保険または長期所得補償保険に加入すると保険料が発生することから、就業不能保険(長期所得補償保険)を検討する人は主に次の2つのパターンです。

・ 個人事業主で国民健康保険制度に加入している人(傷病手当金の対象外)

・ 会社員の方で、傷病手当金だけでは生活費が明らかに不足すると思う場合

最後に、就業不能(長期所得補償)保険に加入を検討される場合、病気やけがで長期間働けない状況で、かつ社会保険制度の給付が一切ない状況がどの程度可能性があるのか、も考えたり調べたりしておく必要があります。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)

《岡田 佳久》
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株式会社オーブレイン 代表取締役 (講演実績)一般向けセミナー、民間企業、高等学校、大学、資格専門学校、社団法人、NPO法人、商工会議所、男女共同参画センターなど(累計約1,000回以上)。(執筆実績)産経新聞、神戸新聞、Yahoo!JAPAN、ダイヤモンド社、わかさ出版など多数 ≪保有資格≫CFP、FP技能士1級、キャリアカウンセラー(CDA)、 1級DCプランナー(金融財政事情研究会) 、第二種証券外務員(未登録)、住宅ローンアドバイザー(金融検定協会) 寄稿者にメッセージを送る

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