毎月、数千円の保険料であっても長期間にわたって支払うとなると、結構な金額の保険料を支払うことが多いです(前編より)。

後編では、医療保険を考える時に参考にしたい項目をお伝えします。

医療保険はどこまで必要か

入院した時の平均費用は?

入院時の1日当たりの自己負担費用の平均ですが、男性(全年代)は2万3,258円、女性(全年代)は、2万3,396円となっています(生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」)。

この費用は、治療費、食事代、差額ベッド代、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品の費用です。

なお、高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額になっています。

多くの費用がかかると思われたかもしれませんが、あくまで平均データです。

多くの年代では、1万円~1万5,000円の割合が多くなっています

なお、別の統計データでは入院1日当たりの自己負担額の平均額が約1万5,000円といったものもあります。

もちろん、治療の内容によって変わりますが、1万~2万円ぐらいが平均だと言えます。

この費用のほとんどを医療保険で備えるのか? 貯蓄で備えるのか? を考える必要があります

ほとんどを医療保険で備えるとなれば、入院日額1万円以上になりますがその分だけ保険料は高額になります

医療保険と貯蓄のバランスを取るのであれば、入院日額は5,000円、そして、貯蓄で備えるのであれば、医療保険には加入しないもしくは入院日額3,000円程度になります。

入院日数はどのぐらい?

退院患者の平均在院日数ですが、全体の平均では総数29.3日(内訳:男性26.9日、女性31.7日)となっています(厚生労働省「平成29年患者調査の概要」)。

この平均在院日数よりも多くなっているのは、次の通りです。

・ 精神及び行動の障害:男性278.4日、女性276.0日

・ 神経系の疾患:男性67.4日、女性97.4日

・ 循環器系の疾患:男性29.6日、女性49.8日

(厚生労働省「平成29年患者調査の概要」)より

この平均在院日数ですが、年々短縮化されています。

なお、平成11年では総数が39.3日となっており、この約10年間で平均在院日数が10日も短くなっています

10年以上前に加入した医療保険では、通算1,000日の入院まで入院給付金が支払われるタイプが多くありました。

今も継続して加入している場合には、通算1,000日入院する確率が少ないと言えます。

したがって、年齢の上昇とともに保険料も上昇しますが、医療保険の切り替えも検討のうちの1つになります。

また、死亡保険の特約で医療保障をセットしている場合で、入院給付金の保障にのみ加入している場合は、入院した時でも入院の短期化により思ったよりも給付金を受け取れないことも考えられます。

なお、参考ですが、人口10万人に対する入院の受療率は総数1,036人となっており、1.036%になります(厚生労働省「平成29年患者調査の概要」)。

この数値は年齢とともに高くなる傾向がありますが、65歳以降の入院の受療率は次の通りです。

<人口10万人に対する入院の受療率> ※総数

・ 65歳~69歳:1,305人(1.305%) ・70歳~74歳:1,712人(1.712%)

・ 75歳~79歳:2,448人(2.448%) ・80歳~84歳:3,633人(3.633%)

・ 85歳~89歳:5,326人(5.326%) ・90歳以上:7,815人(7.815%)

(厚生労働省「平成29年患者調査の概要」)より

先進医療の費用と年間実施件数は?

先進医療とは、厚生労働省によって定められている新しい医療技術のことを指し、現時点では公的医療保険の対象外になっている治療方法のことを言います。

全額自己負担となりますが、どのぐらいの費用がかかるのか? 実際の実施件数を確認しておきましょう。

・ 陽子線治療:(※実施件数)1,295件:平均約270万円

・ MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法:821件:平均約11万円

・ 重粒子線治療:720件:平均約310万円

・ ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法):375件:平均約30万円

・ 糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査:295件:平均約3,500円

中央社会保険医療協議会「令和元年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」

(※)令和元年度 (平成30年7月1日~令和元年6月30日) 実績報告より

自己負担額は公的医療保険の対象外となるため高額になりやすい治療も多いですが、年間の実施件数自体は少ないと言えます。

ただし、万が一、先進医療の治療を受けなければならない場合の費用負担を考慮されるのであれば、医療保険の保障額を最低限度にした上で、先進医療特約に加入しましょう。

先進医療特約の保険料は月額100円~200円程度と非常に安価です。

なぜなら、先進医療の実施件数自体が少ないからだと言えます。

健康保険制度もチェック

医療保険のお話になると必ずといっていいほど登場するのが、健康保険制度の高額療養費制度と傷病手当金制度の2つです。

詳しくは、下記のそれぞれのURLでご確認ください。

なお、自営業者などが加入する市区町村が運営する国民健康保険制度には、高額療養費制度はありますが、傷病手当金制度はありません

また、会社員で勤務先が協会けんぽではなく、独自の健康保険組合である場合、協会けんぽの制度よりも充実しているケースもあります。

中には高額療養費制度の月額の自己負担の上限額が3万円前後といった健康保険組合もあります。

・ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)<協会けんぽ

・ 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)<協会けんぽ

価値観と家計の状況を踏まえて考えよう

【後編】では、統計データを中心に見てきましたが、あなたがどのように思われたのか。

それが「どこまで医療保険で備えるのか」につながります。

さらに、今後の医療に対する備えを考える際に、個々の健康状態や価値観も含まれると思います。

なお、あくまで保険はお守りがわり(貯蓄対応を中心)という考えの場合には、医療保険には加入をしないで貯蓄で対応するとなると300万円程度の余剰資金があれば対応可能であると言えるでしょう。

もしくは、各保険会社の医療保険を比べ、最低限の保障のみの加入を検討しましょう。

医療保険では、「自助努力(貯蓄)と保険のバランスを保ちたい」場合には、入院日額5,000円、手術給付金と先進医療に関する保障は必要です。

結論だけを確認するのではなく、ご自身の価値観と家計の状況も考えた上で、医療保険を考えてみましょう。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)