※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

「親の土地に家を建てる」3つのケース 税金面等からその違いを解説

税金 税金
「親の土地に家を建てる」3つのケース 税金面等からその違いを解説

「親の土地に家を建てる計画がある」という相談がありました。

しかし、その場合でも3つのケースが想定されます。

今回はその違いを大まかにお話しますので、少しでも理解を深めていただけたら幸いです。

「親の土地に家を建てる」3つのケース

「親の土地に家を建てる」という3つのケースとは?

一口に「親の土地に家を建てる」といっても3つのケースが想定されます。

その3つのケースとは、下記になります。

(1) 親の土地を無償で借りて家を建てる(使用貸借)

(2) 無償ないしは安く譲ってもらって家を建てる(生前贈与)

(3) 借地料(地代)を支払いつつ家を建てる(賃貸借)

一般的には、(1) のケースが多いと思われますが、それぞれで税金面等に違いがあります。以下からその違いをお話していきましょう。

(1) 親の土地を無償で借りて家を建てるケース

土地を無償で借りて家を建てるケースの事を「使用貸借」といいます

「使用貸借」では、金銭的な負担がないというメリットがある反面、貸主(親)に対して弱い権利しかありません

親子間ではほとんどないと思いますが極端な場合、立ち退きを要求されたらすぐに退去しなくてはいけない事態があり得るということです。

そうは言っても実務上では、住宅ローンの担保提供者(連帯保証人)に土地所有者である親がなるのですから、ここまでの状況は考えにくいです。

注)期間の定め等をするなりして親と契約書を締結しておけば、権利が守れることがあります。

こんなに弱い権利の為、税法上では使用貸借の権利の価値はゼロとみなされています

そのために贈与税はかかりません

通常、無償でもらったり使ったりしたら贈与税の対象になるのですが、権利の価値がゼロなのでこういう扱いになっているのです。

「使用貸借」では金銭的な負担がないことは前述しましたが、なかには親子間ですと土地の固定資産税程度は支払ってということはあり得るでしょう。

その場合でも、「使用貸借」の範囲内とみなされますので覚えておいてください。

しかし、贈与税上の負担がないということは、相続税上は負担が重くなることを意味します。

なぜなら、「使用貸借の権利の価値がゼロ」で弱い権利ということは、貸主(親)からみれば、その土地の使用に制限があまりかからないので、自由に使える土地すなわち、「自用地」として評価されてしまうからです。

通常、借地の場合は借地権割合分が差し引かれて評価が下がるのですが、それがないので相続税上では負担が重くなるのです。

また、このケースでの小規模宅地等の評価減の特例適用については、親と同一生計だとみなされれば適用を受けられますが、そうでなければ受けられません。

(2) 無償ないし安く譲ってもらって家を建てるケース

このケースでは、贈与税の対象(生前贈与)になります

無償で贈与税の対象になるのは理解できると思いますが、安く譲ってもらっても贈与税の対象になるのです。

その場合は、本来の金額よりも安く譲ってもらって得した分に対して、親から子に贈与があったとみなされるわけです。

安く譲ってもらったかどうかの判断は、税法上明確な判断基準は規定されていません。

ですが、相続税評価額以下ですと安く譲ってもらったとみなされる可能性が高くなります。(さまざまな判例や見解がありますのでご注意ください)

相続時精算課税制度を使えば、最大2,500万円まで贈与税が非課税になりますが、この制度で贈与した財産は相続時に持ち戻しされて相続税の対象になります

値上がりする土地かどうかも視野に入れて使うかどうか判定する必要があるでしょう。

さらには、贈与税のほかに不動産取得税や登録免許税の対象になります

相続ならば軽減されるのですが、この場合は当てはまりません

また、さらには親に対しては譲渡税(所得税・住民税)の対象になります。

最後に、生前贈与しますと小規模宅地等の評価減の特例は使えなくなります

両親の土地を借りて建築中

(3) 借地料(地代)を支払いつつ家を建てるケース

借地料(地代)を支払いつつ(賃貸借)ということは、その土地に借地権設定をするということです。

そうなれば、借主(子)に「借地権」という強い権利が生じます。

この借地権設定には基本、借地料(地代)と権利金の両方が必要となっています

権利金の支払いが一般的となっている地域においては、特にご注意ください。

もし、借地料(地代)だけしか支払わないと、「親から権利金相当額の贈与があった」とみなされて、子に贈与税が生じる可能性があります

ただし、例外として権利金の支払いがなくてもその分を借地料(地代)に上乗せして定期的に支払えば、贈与税の対象にはならないともされています

このあたりは非常に専門的ですので、この場合の借地料(地代)設定においては、専門家や税務署などに相談しておこなうようにしてください。

それと、子から親に借地料(地代)を支払うということは親に所得が生じます。

そのため親は毎年、所得税の確定申告をおこない納税することも忘れないでください。

相続税については、借地料(地代)の分だけ現預金は増えますが、土地の評価としては借地権割合分だけ評価が下がることになります。

メリット・デメリットを理解したうえで検討しよう

このように親の土地に家を建てるといっても3つのケースが想定されるのです。

相談者の多くは、(1) のケースしか頭にない方がほとんどなのですが、(2) や(3) のケースでおこなったほうがいろんな意味で賢明なことも有り得ます

どのケースで実際におこなうのがいいかは個別に判断するしかありませんが、ケースごとのメリット・デメリットを理解したうえで検討するようにしましょう。(執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司)

《小木曽 浩司》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

小木曽 浩司

執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司 小木曽 浩司

リップ ラボ 代表 1969年生まれ。大学卒業後、新卒で大手住宅メーカーに入社。約10年間、戸建住宅や賃貸住宅の営業に従事。その後、生損保乗合代理店に転職し、生命保険を使った企業の決算対策や退職金準備などを提案・営業する。そして、平成18年(2006年)6月にリップ ラボ(独立系FP事務所 兼 生損保乗合代理店)を開業し、独立する。現在は、生命保険・損害保険・住宅(不動産)・住宅ローンをひとつの窓口で、トータルにご相談に乗らせていただいております。また、専門家のネットワークを構築し、税金や相続、登記などの相談の窓口にもなっております。 <保有資格>:CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、ライフ・コンサルタント、損害保険プランナー 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集