親に、「遺言書」を書いてもらう方法

こんな見出しを先日、週刊誌の見出しで見かけました。

筆者も遺言書が、作成してあれば、「相続人がこんなつらい思いをしなくてよかった」と思ったことは何度も経験しています。

たとえば、子供がいない場合とか、相続人に行方不明の方がいる場合、先妻(夫)の子がいるなど特殊事情がある場合は、確かに遺言書の作成を検討すべきです。

そんな方のために、いかに「遺言書」を書いてもらうかは、大切な情報です。

今回は、そうではなく、相続人が、同じ両親から生まれた(成人の)子と配偶者だけの場合は、あえて遺言書は作らず、相続発生後、相続人全員で話し合って決めるのが一番という話です。

先日も、相談者さんから、「だって話し合いができないから」といいます。

「でも、遺言書を作れば、もっともめることになるかもしれないのですよ」と筆者は答えます。

ですから、今、すべき相続対策の優先順位は、推定相続人さんとの関係の修復なのですあり、遺言書作成は、最後の手段として考えるべきだと思うのです。

遺言書作成に待った

遺言書作成で、関連業界はウハウハ?

遺言書の作成をお手伝いすれば、当然、費用が発生します。

実は、それだけではないのです。

財産目録を作成すれば、対策のための保険、不動産活用の提案。

実際に相続が発生した時に、相続人以外の第三者が遺言執行者になっていれば、遺言執行費用がかかります

これが、それなりの金額です。

会計事務所が絡んでいれば、相続税申告の受注にもつながります。

遺言書作成時の手数料よりも、将来の相続発生時に、相続手続き、申告、遺産の活用、土地売却・活用などビジネスチャンスの見込み先となるのです。

もちろんそれ自体は、相続人にとっても、もしもの時の依頼先の確保といった意味で悪いことではありませんが、業界的にはそういった意味合いもあるわけです。

遺言書を作れば安心か

筆者が、遺言書作成に疑問を投げかけるには、実務体験で、苦い思いをしているからです。

そもそも、「遺言書を作成する=他の相続人に、けんかを売る事」だと思うのです。

遺言書があれば、相続人全員の署名押印がなくても遺産分割をすることができます。

でも、遺産分割でもめたら法定割合になるのが、遺言があれば、遺留分として請求できるは法定割合の1/2です(相続人が直系尊属のみの場合は1/3)。

また兄弟姉妹には遺留分がなく、遺言書の作成=他の相続人との不公平となる訳です。

遺言書の形式と遺留分に配慮しておけば、大丈夫か

せっかく書いた遺言書が、形式不備で無効になってはいけません。

そこで書き方の本はよくあります。

また遺留分に配慮しておけば、遺留分侵害額を請求されないかもしれませんが、法定割合より少なかった相続人にすれば、遺言書があるため法的に遺留分以上請求できなかったにすぎず、少なかった相続人にしてみれば円満相続ではないわけです。

生前贈与すると遺留分侵害額に影響も

遺留分の額も意外にもめる要素です。

まず遺産に、不動産があれば、その評価は、必ずしも相続税評価で遺留分の計算をするわけではありません。

また、遺留分算定の基礎となる財産額には、10年以内の生前贈与(特別受益とみなされる)が加算されます。

そのため、現在、相続税対策で暦年贈与が注目ですが、相続人間に不公平がでる贈与を行っていると、争族の原因となり、通帳の履歴の開示を求められることもあります

そのため、遺言書があれば、安泰な訳ではありません。

※特別受益とは、民法903条に「…婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与…」とありますが特別受益の判断は争点になりやすいです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)