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雇用保険の失業手当を早くもらう方法の「定番」、法改正で生まれた「新たな定番」

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雇用保険の失業手当を早くもらう方法の「定番」、法改正で生まれた「新たな定番」

雇用保険の被保険者が失業した時に、所定の受給要件を満たす場合、次のような失業手当が支給されます。

・ 65歳未満で失業した方を対象にした「基本手当」

・ 65歳以降に失業した方を対象にした「高年齢求職者給付金」

いずれを受給する場合にも、住所地にあるハローワークに行き、所定の手続きをする必要があります。

またハローワークで手続きをする際には、元勤務先がハローワークにおいて雇用保険の資格喪失手続きを行った時に発行された、離職票という書類が必要になります。

そのため雇用保険の失業手当を早くもらいたい場合、この離職票を早期に入手することが大切なのです。

ハローワークで所定の手続きをするといずれかの失業手当が支給されますが、次のような理由で退職した場合、7日間の待機期間に加えて、3か月程度の給付制限があるため、すぐには受給できません。

・ 正当な理由がない自己都合で退職したとき

自分の責任による重大な理由で解雇されたとき

こういった給付制限のある方が雇用保険の失業手当を早くもらいたい場合、離職票を早期に入手するだけでなく、給付制限の期間を短くしたり、給付制限をなくしたりすることが大切なのです。

3か月の給付制限期間がつらい

特定受給資格者や特定理由離職者は給付制限がない

給付制限の期間を短くしたり、給付制限をなくしたりするための「定番の方法」としては、主に次のようなものがあります。

ハローワークから受講のあっせんを受けた、公共職業訓練を受講する

・ 給付制限がない「特定受給資格者(倒産や解雇などで退職した方)」や、「特定理由離職者(正当な理由のある自己都合などで退職した方)」に該当しないのかを、本やウェブサイトなどで調べてみる

例:直近6か月間の残業時間の状況次第で「給付制限なし」になる

例えば退職する直前6か月間の残業時間が次のどれかに当てはまる場合、前者の特定受給資格者に該当する場合があります。

・ いずれか連続する3か月で45時間

・ いずれか1か月で100時間

・ いずれか連続する2か月以上の期間を平均して、1か月で80時間超

どれかに当てはまる可能性がある方は、残業時間の長さを証明するための給与明細書、タイムカードや賃金台帳のコピーなどを持参して、ハローワークで相談してみましょう。

また労働契約を締結する際に明示された労働条件が、事実と著しく相違したことによって退職した場合にも、前者の特定受給資格者に該当する場合があります。

当てはまる可能性のある方は、採用条件などが分かる労働契約書や就業規則などを持参して、ハローワークで相談してみましょう。

残業の多すぎる職場が退職理由に

このように特定受給資格者や特定理由離職者と認めてもらうには、何らかの証明資料が必要になる場合があります。

またその証明資料の中には、在職中でないと入手できないものがあるので、特定受給資格者や特定理由離職者と認められるには、退職する前の準備が大切になってくるのです。

勤務先が求める返却物は早く渡した方が良い

かなり前に勤務していた会社で、社会保険事務の仕事を担当していた時、Aさんという方が退職しました。

Aさんは最後の出勤日に私のところにあいさつに来たのですが、その時に健康保険証や社員証などの、こちらが返却を求めていた物をすべそろえて持ってきたのです。

またAさんは

「ハローワークに手続きに行く日時が決まったら、事前にメールして下さい」

と言い残して、私のところを去っていきました。

その約束の通りにメールをしたところ、Aさんはハローワークの入口で私が来るのを待っていたのです。

こういった方に会ったことがなかったのでかなり驚きましたが、資格喪失手続きを行った後に発行された離職票を、すぐにAさんに渡しました。

そうしたらAさんはハローワークの中にある、基本手当の受給手続きの窓口に直行していったのです。

このAさんのように、勤務先が求める返却物を早く渡して、社会保険事務の担当者が資格喪失の手続きをしやすい環境を整えることは、あまり知られていないものの非常に有効だという意味で、離職票を早期に入手するための「隠れた定番」だと思いました。

またAさんのようにハローワークまで離職票を取りに行くのは難しいと思いますが、元勤務先が自宅から近いなら、手続きが終わった段階で連絡してもらい、元勤務先まで取りに行っても良いと思います。

なお元勤務先が求める返却物を早く渡しても、何らかの理由で離職票をなかなか送ってこない場合があります。

こういった時にはハローワークに行って、「雇用保険の被保険者でなくなったことの確認」を請求してみるのが良いと思います。

ハローワーク

マイナポータルで雇用保険の記録を調べてみる

正当な理由がない自己都合で退職した場合、従来はいつ退職しても3か月程度の給付制限がありました。

しかし法改正が実施されたため、2020年10月以降に退職した場合、5年間のうち2回までは給付制限の期間が2か月になります(自分の責任による重大な理由で解雇された場合を除きます)。

これは良いことだと思うのですが、転職を繰り返している場合、5年間のうちに受けた失業手当の回数などを忘れてしまう場合があります。

またハローワークまで行って調べてもらうのは、手間と時間がかかってしまうのです。

そこでマイナポータルという政府が運営するオンラインサービスに、アクセスしてみましょう。

その理由としてマイナンバーカードを利用して、マイナポータルにログインすると、雇用保険の加入記録や、雇用保険の保険給付の記録などがわかるからです。

マイナポータルで雇用保険の記録を調べた時に、5年間のうち2回という要件を満たせないことがわかった場合、退職日を先延ばしするなどの何らかの対策を検討してみます。

こういった2020年10月以降の給付制限の短縮と、マイナポータルを活用した雇用保険の記録確認は、雇用保険の失業手当を早くもらう方法の「新たな定番」になると思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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