2022年4月の民放改正により成人年齢が18歳に引き下げられます。

さまざまなことが大きく変わりますが、その中で銀行員が気になるのはやはり「親の同意がなくてもローンを組む」ことができる年齢が18歳に引き下げられることです。

今回は、お金を借りることを時系列的に申し込みから契約まで、現役銀行員が順番に解説します。

参照:モバイル政府広報オンライン

18歳から親の同意なしでローンを組める

お金を借りるプロセス1:申し込み

申込みにおけるチェックポイントは「属性」と「資金使途」の2つになります。

利用条件とは、自分が申し込もうと考えているローンの入り口を通過できるかです。

借入理由は、自分が申し込みたいローンは自分が求めているモノ、サービスに適しているかがポイントです。

属性:自分にローンを申し込む資格があるのか?

自分で契約できちゃいます

資格と言っても身分や階級ではなく、その人のプロフィールといったものでこれを「属性」と呼んでいます。

ゲームソフトやトレーディングカードでいう「〇〇属性」をイメージすると理解しやすく、その属性でローン申し込みが可能か決まります。

  • 年齢
  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 年収

借入状況(今のローン残高)など

こうした属性はローン申し込み書やWEBの申し込みページで実際に記入・入力する項目になります。

属性が当てはまらなければローンの利用はできない「ローンを申し込む資格がない」ということになります。

属性については、銀行HPなどのローン説明(商品概要)に「利用可能な方」といった表現で説明があります。

参照:横浜銀行 みずほ銀行

資金使途:自分が求めているモノに適しているか?

ローンでは借入する必要性、必然性を重視します。

お金のつかいみちを「資金使途」と呼び、その資金使途によりローンがあります。

  • 車が必要 → マイカーローン(自動車ローン)
  • 自宅を新築したり分譲マンションを購入 → 住宅ローン
  • 高校や大学へ進学する費用が必要 → 教育ローン
  • 海外旅行に行きたい → 旅行のローン、トラベルローン
  • 美容器具や整形手術費用が必要 → 美容のローン、ビューティーローン
  •  生活費など手元のお金が足りない → カードローン

といったように、資金使途によりそれぞれにあったローンがあり、自分が求めているモノに適したローンを利用するのが大原則です。

最近は若者を狙った詐欺や加入トラブルも多いので、特にお金のつかいみちとローン契約には注意が必要になっています。

参照:独立行政法人国民生活センター

お金を借りるプロセス2:審査

審査とは、ローンを申し込んだ人がそのローンを最後まで返済できるのかさまざまな角度からチェックしていくことです。

審査の具体的な中身は極秘事項なので公表されていません。

審査の内容がわかればそれを悪用して書類や資料(これらを「エビデンス」と呼びます)を偽造する者が出てくる可能性があり、公平正確な審査ができなくなるからです。

基本的な部分はあるので、ここでは「返済能力」について解説します。

返済能力とは、ローンを借りる人が、自分の収入からローン返済に充てられる金額を数値で計算したものです。

住宅ローンなど個人の返済能力はそのまま「返済能力(返済比率)」で算定します。

住宅ローンでは、年間のローン返済額が年収の何割を占めるのか?という「返済比率」で返済能力を推し量ります。

返済能力(返済比率)の計算例

Aさんは3,000万円の住宅ローンを組み、年間のローン支払が100万円です。

Aさんの年収が400万円だと仮定すると、返済比率は25%になります。

計算式1:年間ローン支払計100万円÷年収400万円=0.25→25%

計算方法は銀行によりさまざまですが、一般に住宅ローンの場合なら、返済比率は年収の30%~35%程度が審査に通るラインと言われています。

「借りれる」は要注意

「〇〇ローンの審査内容をこっそり教えます!」

「▲▲ローンの審査に通る裏ワザ3選」

といった見出しを見ることがありますが、ローン審査の内容は非公開ですし、ましてや裏ワザなどは存在しません

最近(記事執筆2022年3月現在)では国会議員が関与して日本政策金融公庫の融資審査で不正が行われた疑いがあるなどニュースになっています。

このように、融資で不正をすることは犯罪にもつながりますので、自分自身で虚偽や偽造をしないのはもちろん、怪しい勧誘や疑わしい情報には注意しなければいけません。

よく見かけるネット記事の見出しで「自分はいくらまで借りれるか?」「ローンを限度まで借りれるようにする秘訣~」などといった表記があります。

「借りれる」は、会話ではふつうに使いますが、日本語(文章)としては間違いで「借りることができる」「借入できる」などが正しい表記です。

こういった見出しのすべてが怪しいとは言いませんが、信ぴょう性に欠けるのも事実ですので、ぜひ覚えておいてください。

慎重に判断する

お金を借りるプロセス3:契約

ローンを借りることを学術的に表現すると「金銭の消費貸借契約」になります。

民法には次のように記載されています。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
引用元:電子政府の総合窓口e-Gov/民法/第五節消費貸借(消費貸借)/第五百八十七条

ローンは受け取るモノが金銭なので「金銭消費貸借」となります。

「借金、お金を借りる」契約のことなのですが、このように法律で定められているので、銀行などのローン契約書類も「金銭消費貸借契約証書」が正式名称になります。

自書(署名)の重要性

法律で定められた契約なので本人の自署が大原則で、他人が書くことは手が不自由などの特例を除き認められません(例外で他人が代筆する場合もいろいろと条件や制約があります)。

特例ではないのに、他人が契約書類に書いたことが判明すると、最悪の場合では全部返済を求められることもあります。

お金を借りる他人のためにわざわざ代筆する人がいるのかと疑問に感じる人がいるかもしれませんが、まず融資自体が不正なでっち上げで、誰かになりすました他人が契約して融資金をだまし取ることがあり、もちろんこれは詐欺などの犯罪につながります。

よくあるのは、ローンの契約書類が多く、家族などが手伝ってしまうことです。

例えば住宅ローンなどでは、申込書に始まり融資金を受け取るまでに何枚、ときには何十枚も書類に自署しなくてはいけませんが、パートナーや家族の人が「本人が大変だから」と署名してしまうことがあります。

この場合は悪意がなければ書き直しで済むこともありますが、「ローンの書類はすべて本人の自署」が大原則なので、これはぜひ覚えておいてください。

ローンの契約について基本的な説明をしてきましたが、銀行などの貸し手と契約を結ぶローンは、やはり約束を守ることが大事です。

約束といっても、毎月の返済日に遅れないように返済するといった、社会人として当たり前のことです。

  • 借りたお金は返す
  • ローンの利用は計画的に

この2つは必ず守る社会人となってください。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)