先日ニュースサイトの記事を見ていたら、65歳になっても国民年金から支給される老齢基礎年金を受給できる見通しがないため、老後破綻を心配している男性の話が掲載されていました。

 

この方の一つ目の問題は、将来に年金破綻が起きるという、不安を煽るマスコミの報道を信じたため、20歳から60歳までの40年の間に国民年金の保険料を、まったく納付してこなかった点です。

 

また二つ目の問題は、老後は年金に頼らないと決めたのに、老後資金を準備してこなかった点です。

 

地道に貯める

 

国民年金の保険料は月16,610円(2021年度額)になるため、この分を積立に回していたら、

「年間20万円(16,610円×12月)×40年」

により、約800万円の老後資金を準備できたわけです。

 

また全世界の株式の値動きに連動した運用成果を目指す、次のようなインデックス・ファンドなら、6%くらいの平均利回りを期待できます。

 

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

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年間20万円を40年に渡って積立し、これを年6%で複利運用した場合の元利合計を、年金終価係数で計算してみると、「20万円×154.762(年金終価係数)」により、約3,100万円になるとわかります。

 

ここから手数料や税金などが徴収されるため、実際に手元に残せる金額は、その分だけ少なくなります。

 

ただ2021年度額で78900円となる満額の老齢基礎年金を、65歳から81歳(男性の平均寿命)までの、16年に渡って受給した場合の約1,250万円よりは、金額が多くなると思うのです。

 

昔の国民年金の保険料は遥かに安いため、これらはあくまで試算にすぎませんが、老後破綻を心配する男性が資産運用の知識を身に付け、それを若い頃から地道に実施していたら、違った結果になった可能性があります。

3つの依存とは

数年前から米ドルへの依存を弱めてきたロシア

 

年金破綻や老後破綻よりも、今注目を集めているのは、ウクライナに軍事侵攻したため、欧米などから金融制裁を受けているロシアの、財政破綻ではないかと思います。

 

ここ数年の間にロシアは、外貨準備の中に占める米ドルの割合を減らし、ゴールドや人民元(中国の通貨)の割合を増やしてきました。

 

そのため米ドルへの依存が弱まっているため、欧米などが金融制裁でロシアの外貨準備を凍結しても、以前より耐えられるのです。

 

またゴールドの価格は軍事侵攻する前から、高値圏での推移が続いているため、売却すれば資金を確保できます。

 

こういった点からロシアの財政破綻については、かなり予想が難しいと思うのです。

 

年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、ロシア関連の資産を保有しているため、もしロシアが財政破綻した場合には、影響を受ける可能性があります。

 

ただGPIFが保有するロシア関連の資産は、資産全体の約0.1%だけであり、ロシアへの依存は弱いため、それほど大きな影響はないと推測されるのです。

 

年金破綻の当面の対策は年金の給付水準の抑制

 

日本の年金制度は現役世代から徴収した保険料を、その時点の年金受給者に年金として配分するという、国を通じた仕送りのような仕組みで運営されているのです。

 

そのため少子高齢化が進み、保険料を納付する現役世代が減って、年金受給者が増えると、年金財政のバランスがとれなくなります。

 

このバランスをとるために従来は、現役世代から徴収する保険料を増やしてきたのですが、これが続くと現役世代の生活が苦しくなります。

 

そこで2004年に法改正を実施し、現役世代から徴収する保険料に上限を設定すると共に、この上限に達するまで毎年少しずつ、保険料を引き上げしていったのです。

 

また年金受給者に配分する年金の給付水準を、この上限で賄える範囲内に抑えるようにしたのです。

 

ただ年金の受給を始める65歳の時点で、現役サラリーマン世帯の平均的所得の 50%を上回るようにするという、年金の給付水準の下限を設定ししたため、際限なく抑制されるわけではありません。

 

現在は保険料の引き上げが完了し、2004年の法改正で定めた上限に達しているため、年金破綻が起きないようにするための当面の対策は、年金の給付水準の抑制になるのです。

 

抜け出した方が良い3つの依存

 

年金破綻、老後破綻、財政破綻が心配な方は、次のような3つの依存から、抜け出した方が良いと思うのです。

 

1)勤務先への依存

お金に関する知識(税金、社会保険、資産運用など)があれば、各人の資産状況に合った、年金破綻、老後破綻、財政破綻の対策を考えられます。

 

しかし残念ながら今の日本は、お金に関する知識の少ない方が、多いという印象があります。

 

この要因のひとつになっているのは、会社員という働き方だと考えているのです。

 

その理由として会社員として働いているうちは、税金や社会保険の手続きの多くを、勤務先がやってくれます。

 

また退職金や企業年金がある会社の場合には、老後資金の準備についても、勤務先がやってくれます。

 

こういった状態にいると、お金について学ぶ必要性が低いため、なかなか知識が身に付かないと思います。

 

ですから自分で確定申告をやったり、iDeCo(個人型の確定拠出年金)で老後資金を準備したりして、勤務先への依存から抜け出した方が良いのです。

 

2)円への依存

円に頼らない

特定の資産への依存を少なくして自分の身を守る、ロシアやGPIFの戦略を紹介しました。

 

資産の大部分が円の預貯金という方は、このような戦略を参考にした方が良いと思うのです。

 

その理由として日本が財政危機に陥った場合には、日本を信用できない方が円売りを始めるため、「大幅な円安の進行→輸入製品や輸入原材料などの急騰→ハイパーインフレ」という感じに、進んでいく可能性があります。

 

またハイパーインフレになった場合には、円の預貯金の実質的な価値が大幅に目減りするため、購入できるものが少なくなるからです。

 

こういった事態を回避するため、円の預貯金を始めとする円建て資産の一部を、外貨建ての資産やゴールドなどに変え、円への依存から抜け出した方が良いと思います。

 

3)年金への依存

年金破綻が起きないようにするために、上記のように年金の給付水準を抑制することが、既定路線になっているのです。

 

そうなると年金への依存が大きいほど、生活が苦しくなってしまうため、年金以外の収入を確保できるようにして、年金への依存から抜け出した方が良いのです。

 

ただ高齢になるほど、雇用されて働くのが難しくなるうえに、健康上の問題が生じる可能性があります。

 

そのため自分の趣味や特技を活かした小規模の個人事業、または株式の配当などで、収入を得られるようにするのが良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)