人生100年時代と呼ばれ、老後も長く働くことが前提の社会が形成されつつあります。

また、医療が発展したとはいえ、病気への罹患リスクがゼロになることはなく、公的年金と併せて老後の資産形成は早い時期から意識し、行動しておくことが適切です。

近年、加入者が増えてきているiDeCoについても老後の資産形成の選択肢の一つとなります。

今回は加入者数が200万人を超えたiDeCoのメリットについて解説します。

加入者がついに200万人を超え

60歳から受給可能

公的年金は繰り上げ(65歳受給開始の老後の年金を65歳より早くもらい始める)請求する場合を除き、現行の法律では65歳から受給開始です。

万一病気により医療費がかかるとなった場合でも高額療養費(実際には限度額適用認定証で対応も可能)制度はあるものの、一定の支出は避けられません。

しかし、iDeCoは原則10年以上の加入(後述)で60歳からの受給が可能です。

尚、受給に際しては年金だけでなく一時金としての受給も可能です。

掛金全額所得控除

例えば民間保険のいわゆる個人年金保険では年末調整時の控除の対象としては毎月1万円の保険料を支払っていたとしても、年4万円(新制度)であるのに対し、iDeCoは小規模企業共済等掛金控除として、全額が所得控除の対象となり、会社員の場合、最大で27万6,000円と大きく差が開いています。

すなわち、老後の資産形成を進めながら、節税対策にも繋がるということです。

転退職したとしても持ち運びが可能

働き方改革の一施策として多様な働き方が尊重されています。

一つの会社に定年まで勤め続けることは多いとは言えず、例えば新卒で入社した会社に企業型DCがあり、転職先に企業型DCがない場合であっても企業年金での資産をiDeCoに移管することができます(一定の要件あり)。

注意点として、企業型の加入者が運用指図者にならず、資格喪失日が属する月の翌月から6か月以内に移管の申し出を行わない場合、年金資産は現金化され、国民年金基金連合会へ移管されることとなります。

デメリットとして、自動移管後は、運用指図ができなくなり、通算加入期間にもカウントされないだけでなく、管理手数料が引かれ続けることとなります。

尚、「運用指図者」とは、掛金を納付することなく、金融商品の運用のみを行う人です。

例えば、退職により一時的に掛金の納付が難しくなった場合が挙げられます。

iDeCoはNISAと異なり、原則として60歳まで引き出しができません

掛金のみ納付し続けることとなりますが、長い職業生活の中で、一時的に掛金の納付が困難になることは、決して少なくないでしょう。

運用益が非課税

運用時だけでなく、移換時も非課税です。

尚、給付時(老齢)は年金として受け取る場合は雑所得(公的年金等控除が適用)として課税され、一時金として受け取る場合は退職所得(退職所得控除が適用)として課税されます。

受給開始時期について

60歳から受け取れるiDeCoについて、60歳から受け取れる基準はどのように定められているのでしょうか。

「通算加入者等期間」が10年以上であれば、60歳が支給開始年齢となります。

尚、通算加入者等期間とは企業型年金加入者期間、企業型年金運用指図者期間、個人型年金加入者期間、個人型年金運用指図者期間となり、この期間が10年あれば60歳から受給することができます。

反対に、この期間が10年に満たない場合、受給開始年齢は以下のとおりとなります。

8年以上:61歳
6年以上:62歳
4年以上:63歳
2年以上:64歳
1月以上:65歳

最後に

iDeCoは老齢だけでなく、障害給付金(年金・一時金)も整備されており、公的年金と同様に非課税です。

死亡における給付も死亡一時金があります。

死亡一時金はみなし相続財産として相続税の課税対象となります。

iDeCoの掛金は最小5,000円から始められ、国民年金の保険料の約1/3と始めやすいことも加入者数が200万人を超えた要因と考えます。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)