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「年金が思ったより少ない」につながる落とし穴とは

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「年金が思ったより少ない」につながる落とし穴とは

老後の年金は原則として65歳から亡くなるまでもらうことができるものです。

しかし、「ねんきん定期便」や年金相談などで年金見込み額を見て「思ったより少ない」と感じられる方も少なくありません。

そのように感じられた方は傾向としてどのような「漏れ」があるのか、また、今後気を付けなければならないのかを確認していきましょう。

「年金が思ったより少ない」

大学生時代

国民年金から支給される「老齢基礎年金」は20歳から60歳までの40年間にどれだけ保険料を納めたかで「終身」の年金が支給されます。

国民年金制度は1961(昭和36)年にできた制度ですが、昭和時代よりも大学進学率は上昇しており、20歳といえば、多くの場合、大学2年生にあたりますので、月額1万6,590円(2022年度)の国民年金保険料は学生にとっては大きな負担と言えます。

現在は学生納付特例制度の申請をし、滞納状態を回避し、10年以内に保険料を納付することで空白期間は生じないことになります。

なお、1991年4月から学生でも国民年金は加入義務となりましたが、1991年3月までは「任意」とされていましたので、高校卒業後にすぐに就職した場合を除き、空白が生じている可能性があります。

転職

会社員時代は概ね週30時間以上働く場合、厚生年金へ加入することとなります(個人事業主に雇用されている場合は業種・人数によっては厚生年金の適用がされていない場合もあります)。

厚生年金に加入しているということは、言い換えると国民年金第2号被保険者となります。

毎月の給与(賞与が支払われれば賞与でも)で保険料が引かれることとなります。(会社が取得の手続きを忘れていた場合を除き)滞納になっているということはあり得ません。

しかし、退職後に再就職までに一定の空白期間がある場合、自身で国民年金第1号被保険者へ種別変更の手続きをしなければなりません。

すわわち、種別変更後は自身で国民年金保険料を納めなければならないということです。

この手続きが漏れていると滞納扱いとなります。

被扶養者

専業主婦(夫)の場合、主たる生計維持者である夫(または妻)が厚生年金に加入している場合、専業主婦(夫)は国民年金の第3号被保険者となります。

第3号被保険者の手続きは主たる生計維持者が勤務する会社を通じて行いますので、専業主婦(夫)が個別に年金事務所等に出向いて手続きを行う必要はありません

しかし、夫婦に年の差があり、例えば会社員である夫が65歳になり、専業主婦である妻が60歳未満のケースは要注意です。

この場合、夫が老後の年金の受給権を有している場合、65歳以後は国民年金の第2号被保険者ではなくなり、厚生年金のみの被保険者という扱いにかわります。

よって、専業主婦である妻は国民年金第3号被保険者から第1号被保険者に種別変更の手続きをするだけでなく、保険料も納めていかなければなりません。

もちろん、妻自身の収入がない場合、夫が代わって納めることは可能です。

その場合、夫が妻の負担すべき国民年金保険料を納めていますので、その保険料額を夫の職場の年末調整において、「社会保険料控除」として、申告することができます。

満額に近づける方法

学生納付特例での追納期間は10年ですし、滞納してしまった場合、保険料の納付については2年を過ぎてしまうと時効により納めることができません。

その場合の対応策として、国民年金の任意加入制度を活用して、65歳に達するか、上限である480か月(40年)に達するまでの間、国民年金に任意に加入することができます

「空白期間」が起きないように意識しよう

国民年金から支給される老齢基礎年金も厚生年金から支給される老齢厚生年金も自身が亡くなるまでもらえる終身年金です。

年金が思ったより少ないという気持ちで老後を過ごすのは精神衛生上もよくありませんし、気づくのが遅くなることで取れる選択肢もどんどん少なくなっていきます。

「ねんきん定期便」などを活用し、「空白期間」があった場合の対応と、そもそも「空白期間」が起きないように意識して年金制度と向き合うことが大切です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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