父が亡くなり、相続人が、長男、長女、次女の3人でした。

遺産分割協議

まとまれば、すべて解決か

長男が、父の相続の遺産分割案として

「長女、次女、に各々500万円を渡すから、分割協議書に印を押してくれ」

と話しました。

父親の預金がほとんどないと思っていた長女と次女も、その時は500万円もらえるならと思い、分割協議書に署名押印しました。

その後、相続税の申告書等を通じて、預金だけでも5,000万円あったことを長女と次女は知りました。

長男に対し直接は何も言いませんでしたが、

「私たちの評価は、5,000万円に対し500万円かぁ」

もやもやした気持ちが生まれてしまいました。

きょうだい間の差が問題

遺産分割で問題となるのは、金額の絶対値ではなく、他のきょうだい間の差です。

長男は、故人の預金がいくらあったのか、あらかじめ開示すべきでした。

その上で、長女、次女が長男に譲り500万円にしたのであれば、円満相続です。

実は、子供たちはきょうだい格差にとても敏感です。

他の相続人に配慮するのは大変で大事なことです。

しかし「少なくさせられる」のと「他に譲る」では、大きな違いがあります。

兄弟で相続トラブル

多く遺産をもらう方法は

まず、多くもらうことが、「勝ち」なのでしょうか。

自分が多くもらう事=他の相続人の相続分が減ることになる訳です。

それは、他の相続人から恨みを買われる、または何らかの形でお返しがあるかもしれません。

しかも遺産分割は、相続人全員の合意が必要です。

合意を取るためには、他の相続人の立場であればどのように考えているか、思いをはせることが大切です。

「農地は要らない」という相続人がいました。

他の相続人で、たまさか故人の農地で家庭菜園をやりたいと考えている方がいることもあります。

また相続人全員が「農地は要らない」と考えている場合もあります。

そうであれば、その農地が売却可能か検討しなければなりません。

原則、負の財産含め、誰かが相続しないといけないわけです。

放棄するのであれば、農地以外の財産も含め放棄する必要があります。

不動産の実情を知る

最近、家庭菜園として無償で貸していた農地が返ってきた、佐藤さんの話です。

近隣で、家庭菜園をやっていただいていた方が、高齢のため、返却されたそうです。

土地の固定資産税自体は、安いものです。

その土地が収益を生まなくても、気になる金額ではありません。

返されてわかったのですが、問題は草の管理です。

返していただいた時には、きれいに整地されていた農地が、みるみるうちに草で生い茂ってしまいました。

重い腰を上げ草刈りをしたものの、3週間で元に戻ります。

利用しない方にとって大変な作業です。

生産緑地の指定を受けている農地であれば、生前中(指定期間中)は農地利用しかできませんが、続が発生すれば、生産緑地の指定解除し土地活用も可能です。

雑草だらけの農地

相続人の間で真逆に考えていることもある

筆者(弟)も父の相続時に、姉に対して「あなたは父から本当にかわいがられていた」と話したことがあります。

そしたら姉は「私は、親からいつも長女だから我慢しなさいと言われ、不満に思っていた」といいます。

正直、想定外でした。

おたがい、他の相続人の方が、親の愛情が強いと思い嫉妬していたわけです。

自分勝手では、遺産はまとまらない

他の相続人が遺産分割についてどう考えているか、考えてみることと同時に、相手の希望を出してもらい、自分もどうするか再考するのです。

他の相続人の話に耳を傾けることで、もしその方に遺産分割について強い思いがあったとしても、解決に向かうことがあります。

あんがい親は子を公平に育てていますが、子は他の相続人より多くの愛情を求めていたりします。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)