回転寿司は、日本発祥の世界に誇れるエンタメ食文化である。

今や世界中で愛される回転寿司の業態には上場企業も多数生まれており、我々の日常にも身近である。

筆者も回転寿司は大好きであり、上場企業の回転寿司はほぼ全ての店に定期的に通い、楽しんでいる。

投資においても、飲食店については食べに行くことで気が付くことも多い。

  • 価格がお手頃かどうか
  • 単価アップのための工夫がされているか
  • お寿司以外のメニューはどうなっているのか
  • 人件費を削減するDXの進み具合はどうなっているのか

特にこのような点は行かなければ気が付かないものである。

今日はそんな回転寿司を主力としているの上場企業を直近の決算やIRから分析し、勢いを感じてみたい。

決算から読み解く回転寿司企業の明暗

回転寿司を主力事業として上場している企業は?

回転寿司を主力している上場企業は下記。

  • くら寿司(2695)
  • 銚子丸(3075)
  • FOOD&LIFE COMPANIES(3563)
  • カッパクリエイト((7421)
  • 元気寿司(9828)

※はま寿司はゼンショーホールディングス(7550)の一事業で、その他にすき屋などの事業体も多いのでここには入れていません。

くら寿司(2695)

企業概要

・関西地盤の回転ずしチェーン「くら寿司」を直営で全国展開

・迷惑行為対策でAIカメラを導入しており、IT化への取り組みに力を入れる

・1皿115円のリーズナブルさ、DXによる経営スマート効率化、そして、抗菌寿司カバーを付けるなど清潔への取り組みをアピールしている

業績

前年同期比で売上は23.9%増加しているが、営業利益は前年同様赤字、また経常利益では前年同期比で減益となっている。

<くら寿司 決算短信より>

 

考察

日本、北米、アジアで展開しているくら寿司。

全ての地域で売上は大きく上昇しているが、前年比で見ると、日本での利益が減少

北米では赤字縮小はしたが未だ黒字転換ならず

インフレの影響が仕入れコストを上昇させ、経営数字に現れていることが感じられる。

そんな中、アジア地域においては、売上も利益も大きな成長を遂げている。

前年は赤字だったアジア地域での業績も大きく黒字転換が実現。

たガチャポンスタイルのエンタメテイストたっぷりな寿司スタイルは、人口が増加傾向の国にはどんどん受け入れられる可能性がある。

<くら寿司 決算短信より>

直近3か月の株価チャートを見ると、特にこの1週間で株価が跳ね上がり始めている

3/10には1Qの決算が出るが、今後のアジアでの動きには大いに注目だ。

<くら寿司の株価の値動き>

 

銚子丸(3075)

企業概要

・千葉を地盤に郊外型回転ずし店を首都圏で直営展開

・価格帯はさまざまで高価なネタも存在

業績

本業の状況をもっとも示すと言われる売上は前年同期比12.2%増加

<銚子丸 決算短信より>

 

考察

前年成長で業績を見ると、その成長性を感じられるが当初出していた計画と比べると、営業利益は大きく下振れ着地している。

<銚子丸 2023年5月期第2四半期業績予想と実績値との差異に関するお知らせ より>

営業利益が下振れしている理由としてはIRで、

・原材料価格・物流費や、水道光熱費の想定を大幅に上回る高騰

・積極的な老朽設備の改修 に伴う修繕費・消耗品の増加

・SNS等新しい媒体のチャレンジのための広告宣伝費の増加

・DX推進のための外注費の増加

などとしている。

当初出した計画に対して下振れの業績を出してしまったことは、投資家目線としてはいただけないが、理由を見ると、銚子丸の職人気質、不器用なほど「経営よりも味」をこだわろうとしている姿が想像でき、顧客的にはほほえましく感じる人もいるかもしれない。

直近3か月の株価チャートは順調に下値を切り上げて行っていることがわかる。

3/30には3Q決算の発表となるので、今後のインバウンド期待も含め、そのような発表をしてくるか注目である。

<銚子丸の株価の値動き>

 

FOOD&LIFE COMPANIES(3563)

企業概要

・「スシロー」を展開し回転寿司チェーン店舗数では首位

・持ち帰りずしの「京樽」を子会社化

・韓国・アジアにも進出している

業績

直近発表の1Q決算においては売上、利益ともに減収減益で、対前年成長では大きく成長が止まってしまっている

<スシロー 直近発表決算短信より>

 

考察

いわゆるペロペロ事件で話題になり、一夜にして時価総額150億円もの損失を出したと言われるスシローである。

しかし、その後、株価は戻り、高値を更新してしまった。

直近決算では、対前年比で売上、利益とも大きく前年割れしているが、この理由は直近の騒動の影響ではなく、2022年6月に「おとり広告」として騒がれ、顧客離れを起こしたことが原因と考えられる。

今年1月末に起きた騒動のマイナスの影響は株価には全くないどころか、多くの有名人、インフルエンサーに対し「スシロー」認知を呼び込み、PRに繋がってしまったという、不幸中の幸いが奇跡的に発生したと考えられる。

そして、このPR効果の影響が出るのは次以降の決算となるだろう。

「株価は業績に先回りする」と言われているが、昨今のスシロー株価の快進撃はまさにそれを体現するものと考えられる。

<銚子丸の株価の値動き>

 

カッパクリエイト(7421)

企業概要

・「かっぱ寿司」を全国展開

・コンビニ向け加工も行う

・大戸屋、牛角などど同じコロワイドグループ

業績

直近決算は3Q決算となるが、前年対比の売上は小幅上昇したがほぼ横ばい、営業益、経常益は赤字縮小しても依然として赤字

最終益については前年が黒字だったのに対し、大幅に赤字に転落となった。

さらに、通期業績における売上、利益の大幅な下方修正を発表している。

<カッパ・クリエイト 決算短信より>

 

考察

下方修正の理由として、感染症再拡大、ウクライナ情勢や円安を背景とした原材料価格や光熱費、物流費及び人件費の高騰を要因としたコストアップを理由に挙げているが、それは同業の全ての企業で同じ環境であり、その中で業績を伸ばしている企業もあることを踏まえると、同社個別の業績低迷要因を考えることが正解に辿り着く可能性を高めると考える。

特に、同社においては、2022年10月に営業機密を不正持ち出し事件が発生するなど内部のマネジメントや企業文化に大きな疑問を感じる。

他の回転寿司の決算をと比較してもとりわけ悪い業績となっており、出店店舗も減少している。

かつては回転寿司のナンバーワンの地位を確立していたかっぱ寿司であるが、内部体制の見直し、企業文化や企業理念の徹底からやり直すことが急務と感じる。

それでも、直近3か月の株価は高値をぐんぐん更新していっている。

<カッパ・クリエイトの株価の値動き>

これは、インバウンドセクターへの期待と同社の貸借倍率から見てわかることだが、たくさんの空売りが既に仕込まれており、その買戻しがどんどん入っている可能性が高いと考える。

 

元気寿司(9828)

企業概要

・栃木県に本社を置き「元気寿司」「魚べい」を展開

・雪国まいたけと同じ神明ホールディングスグループ傘下

・タイなど東南アジアにも進出

業績

純利益においては前年を割っているものの、本業の好調度合いを示す売上、利益、経常利益は対前年比で驚異的な成長を見せている。

<元気寿司決算短信より>

 

考察

出店店舗が増加した効果もあり、本業の好調度合いを見ると売上、営業益、経常利益は前年対比で大幅増加

特に営業利益、経常利益については対前年比4倍超となっており、劇的な成長を感じる。

海外展開もスケールに成功しており、勢いを感じ、今後が楽しみである。

直近3か月の株価は順調と言える。

<元気寿司の株価の値動き>

 

明暗がはっきりしている回転寿司業界

食のエンタメ代表である回転寿司企業を改めて整理してみたが、原材料や光熱費の高騰という逆風を受けながらも元気な企業、そうでない企業、明暗分かれている。

「企業理念がどれだけお店の隅々にまで浸透し接客できるか」がそのまま業績数字になるのが外食業種であると筆者は考える。

その一方で、株価については、感染症の終焉や訪日外国人の増加によるインバウンド期待で、どの銘柄も堅調で、下値を切り上げて行っていることがイメージできる。

回転寿司含む外食産業、そしてインバウンドと言われるカテゴリーは、このまま大きな上昇相場に乗っていく可能性も十分に考えられる。

日常の楽しみとしてお店に行くのも良いがたまにはこのような観点で投資家視点でお店に食べに行ってみることもおすすめしたい。(株-1グランプリ優勝者 古賀真人)