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完全キャッシュレス派から見たデジタル給与の落とし穴 今まで通りの給与のほうが、還元の点では得になる

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完全キャッシュレス派から見たデジタル給与の落とし穴 今まで通りの給与のほうが、還元の点では得になる

デジタル給与払いの準備が急ピッチで進められています。

この記事で語りたいのは、デジタル給与の是非などではありません。

「デジタル給与が始まったからと言って、もらった給与をそのまま買い物に使うと損」と言いたいのです。

日々ポイントを得る観点から、デジタル給与の欠点を申し上げます。

デジタル給与の落とし穴

キャッシュレスは、クレジットカードと銀行が間に入らないと損

デジタル給与の説明の前に、現在のキャッシュレスの仕組みを整理します。

筆者のような完全キャッシュレス派は「得」を第一に考えますが、デジタル給与だと得になりません。

クレカと銀行のおかげで還元率が維持できる

キャッシュレスで生活して得になるのは、尽きるところクレジットカードと銀行のおかげです。

当たり前の事実を確認します。


1. QRコード決済を使うと、「決済独自の還元」+「クレジットカードのポイント還元率」が得られることが多い

2. 1からいえるのは、キャッシュレスで得をするためにはクレジットカードの利用が欠かせないということ

3. クレジットカードの利用代金は、銀行引落し


1はいわゆるWポイントです。

Wポイントになるキャッシュレスの組み合わせは減ってきましたが、それでもなお、得をする考え方の基本となります。

QRコード決済に「現金チャージ」して使うよりは、得になるケースが多いのは間違いありません。

結局現状、クレジットカードあってのキャッシュレスなのです。

デジタル給与になったからといって、クレジットカードの役割がいきなり替わるわけではありません。

そしてクレジットカードは(ごくまれな例外を除き)銀行引落しで代金を支払います。

決済が即時銀行引落しとなる、デビットカードだとしても同じです。

デジタル給与が始まると、クレカと銀行が中抜きされる

デジタル給与が始まると、労働者は「PayPayマネー」や「楽天キャッシュ」で給与をもらうことになります。

この給与は、QRコード決済のPayPayや楽天ペイ、それから電子マネーの楽天Edyで買い物に使うことができます。

そうすると「クレジットカード」と「銀行」が一連の流れから省かれてしまいます

クレジットカードが組み合わせられないことで、ポイント還元が減る(損する)わけです。

給与をデジタルでもらうだけでポイントが付与されるならこの限りではないですが、果たしてそうなるでしょうか。

デジタル給与時代になっても「あえて銀行を挟む」ことになる?

デジタル給与は、「現金に替えられる」ことが、利用にあたっての大前提となっています。

そうするとお得を追求する人にとっては、デジタル給与をもらっても結局、従来の流れを利用しなければならないかもしれません。

楽天経済圏を例にとります。

1. (予想)デジタル給与キャンペーンが実施され、楽天ポイントがもらえるのでデジタル給与に替える

2. 楽天キャッシュで給料の受取り開始

3. 楽天キャッシュを楽天銀行で現金化する(手数料無料)

4. 引き続き、クレジットカード決済をメインにしたキャッシュレス生活を送る

5. あらためて、クレジットカードから楽天キャッシュにチャージする(楽天ペイと楽天Edyで使う)

6. 楽天銀行口座で、クレジットカードの引落し

楽天キャッシュは、楽天ペイで使うことで還元率1.0%、楽天Edyにチャージして使うことで還元率0.5%となります。

デジタル給与で楽天キャッシュをもらうと、還元はこの部分だけとなります。

ですが、あえて楽天キャッシュを銀行で現金化し、クレジットカード決済を続ければ、ポイント還元率が増えます

楽天キャッシュは楽天カードからチャージして作れますが、これで0.5%(通常決済時の半分)ポイントが得られます。

ポイントを追求するなら、まわりくどい使い方をする必要があります

これはPayPayでも同じことです。

PayPayマネーでPayPayを決済すると還元率0.5%です。

ですが、PayPayあと払い(バーチャルのクレジットカード)で支払うと、1.0%です。

やはり、あえて現金化するメリットがあります。

キャッシュレス派こそ、今まで通りの給与がいい

労働者がデジタル給与を選択すると、恐らくですがキャンペーンでポイントがもらえます。

キャッシュレス派の行動としては、給与のもらい方を変えるだけで報酬が得られれば、断る理由はないでしょう。

ですがもらったデジタル給与を毎月銀行で現金化しないと、今までどおりのキャッシュレス活用ができないわけです。

クレジットカード払いにしている公共料金も支払わないとなりません。

「キャンペーン報酬をすでにもらったから、通常の給与受取りに戻したい」と恥をしのんで会社の担当者に頼むことになりかねません。

デジタル給与には輝かしい未来が待っているのかと思いきや、思わぬ部分に従来のキャッシュレスとの齟齬が見られるわけです。

自営業者の報酬の受け取り方はすでにいろいろある

デジタル給与が始まる前から、自営業者、フリーランスが受け取る報酬はすでに多様化しています。

たとえばクラウドソーシングサイトの「サグーワークス」では、ポイントで報酬をもらいます。

これも直接(手数料あり)、またはドットマネーを経由することで現金化できるため、それほど困りはしません。

確定申告の場合も、ポイントでもらったからと言って現金と違うことはありません。

いっぽう給与所得者のデジタル給与については、労働者保護の観点から多くの縛りが設けられます

「現金化が手数料なしでできる」「業者の経営破綻の際も保護される」「希望者に限る」などです。

それから現金化できない「ポイント」は、デジタル給与としては認められません

PayPayマネーも楽天キャッシュも、ポイントではなくキャッシュレスの残高です。

簡潔なデジタル給与の説明

デジタル給与をごく手短に説明します。

・ デジタル給与を支払う会社は労使協定を締結する必要がある

・ デジタル給与は強制でなく、希望者のみ

・ 会社は給与振込の手数料を削減できる

・ 会社でデジタル給与の支払いが決まっても、今まで通り個人においては銀行口座も選択できる

・ 資金移動業者は、労使間で指定するので、労働者個人の希望に沿うとは限らない

・ 資金移動業者に置くデジタル口座は、100万円が上限(100万円を超えると自動で銀行に払い出される)

・ 2023年4月現在、資金移動業者として名乗りを上げているのはPayPayと楽天ペイメント

労使協定で、PayPayが資金移動業者と定められた場合、労働者個人が楽天キャッシュでもらいたいと希望しても通りません。

決定事項に基づき、キャッシュレス手段も決まってしまうわけです。

キャッシュレス派として、デジタル給与に魅力は感じない

デジタル給与が始まっても、キャッシュレスの主軸がクレジットカードという構造が変わらない限り、それほど便利にもならないし、面白いことも起きないと思われます。

今までどおり銀行に給与を振り込んでもらい、それを各人の工夫に応じて使いこなすほうがずっと自由です。

クレジットカードと銀行の機能が大きく変わらない限りは、しばらくこの状態が続くでしょう。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)

《沼島 まさし》
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沼島 まさし

執筆者:金融系ライター 沼島 まさし 沼島 まさし

実践系キャッシュレスライター。 モットーは「経済圏に囲い込まれるな」「キャンペーンのためなら火の中水の中」 QRコード決済の地域還元のためなら、都内のあちこちに出没します。 たまにうっかり失敗しますが、失敗談もネタにしています。 寄稿者にメッセージを送る

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