記事の更新日:2023年5月15日

NHKの受信料が2023年10月から値下げされるというニュースが、昨年末に世間をにぎわせました。

しかしNHKの受信料には、大きく分けて2つの契約種類があることを、常に覚えている方は意外と少ないでしょう。

NHK受診料の「衛星契約」と「地上契約」では、受信料に年間1万円以上の差があります。

2種の違いはわかりにくく、大半の家庭では「なんとなく、どちらかで契約している」というのが実情です。

  • 衛星契約と地上契約ってどう違うの?
  • 料金の安い地上契約に変えるにはどうしたら良い?
  • 自分の家はどちらで契約したら良いか知りたい
  • もし間違って契約していたらペナルティはある?

この記事では、上記のような疑問をお持ちの方に向けて、NHK受信料の「衛星契約」と「地上契約」の違いについて解説します。

NHK受信料を安くするにはどうしたら良いか、また間違った種別の契約をした場合にはどうなるのかについてもふれますので、ぜひ参考にしてください。

NHKの受信料、衛星契約と地上契約で何が違う?

まずはNHK受信料の「衛星契約」と「地上契約」の違いを一覧にまとめましたので、ご覧ください。

地上契約 衛星契約
現行料金(1か月あたり・口座振替の場合) 1,225円 2,170円
改定後料金(2023年10月~) 1,100円 1,950円
契約条件(視聴状況) BS放送が受信できずに、地上波テレビ放送のみ視聴する場合 4K・8Kを含むNHKのBS放送と地上波テレビが受信できる場合

BS放送の受信できる「衛星契約の場合」、現行では2,170円×12か月=2万6,040円かかります。

対して「地上契約」では1,225円×12か月=1万4,700円ですから、その金額差は年1万1,340円にもなります。

また2023年10月以降にNHKでは受信料の値下げを予定しており、

  • 口座振替の場合「地上契約」では月額125円、
  • 「衛星契約」では月額220円

いまの料金より安くなります。

受信料の値下げは視聴者にとって朗報ですが、できるなら金額の安い地上契約にしてさらに節約したいと考える方もいるでしょう。

ところがそのネックとなるのが、「衛星契約」と「地上契約」の違いが生まれるのは「BS放送の受信環境」という点です。

BS放送を観るか観ないかという話ではなく、受信できる環境にあれば料金の高い衛星契約を結ばなければならないのです。

受信できる環境とは、具体的には以下の2点を指します。

衛星放送を受信できる環境とは
  1. アンテナや回線が設置されていて、衛星放送を受信できる環境にある
  2. 常に放送を受信できるテレビを設置している

地上契約に変えて安くする方法は?

それでは、受信料の安い「地上契約」にする方法はないのでしょうか。

実は一定の条件を満たせば、「地上契約」を結ぶことが可能です。

戸建ての場合

戸建ての場合、BS放送を受信できる環境とは、

  • パラボラアンテナ
  • ケーブルテレビ
  • 光回線のフレッツテレビ

などがある状況を指します。これらがあれば衛星放送を受信できます。

BS放送の受信できるパラボラアンテナ

逆にいえば、

  • アンテナを設置していなかったり壊れた場合、
  • ケーブルや光回線を自宅へ引いていない場合、
  • 居住地域がケーブルテレビや光回線のサービスの対象外地域だった場合

などに、BS放送が受信できず「地上契約」になる可能性があります。

マンションの場合

マンションの場合は個別の部屋ごとではなく、建物全体が視聴環境にあれば「BS放送が受信できる環境」ということになります。

よほど古い物件をのぞいて、受信環境が整っている場合が多いでしょう。

ご自身の意思とは関係なく、建物全体の視聴環境に契約種別が左右される点には注意が必要です。

チューナーレスTVしか持っていない場合

前の項でBS放送を受信できる環境には、2つの条件があることをご紹介しました。

2つ目の条件「常に放送を受信できるテレビを設置している」は、デジタルチューナーを内蔵しているテレビのことですが、昨今のテレビはほぼ内蔵しています。

しかし意図的にデジタルチューナーを内蔵していないテレビもあるのです。

昨年ドン・キホーテが42型のチューナーレステレビを約3万円で発売した際には、通称「NHK受信料不要TV」として話題にのぼりました。

ただしデジタルチューナーを内蔵していないということは、衛星放送だけでなく地上派放送もみれませんので、チューナーレスTVを買ったからといってNHK受信料の地上契約を結べるわけではありません。

  • チューナーレステレビを設置している場合や、
  • テレビそのものを持っていない場合は、

「地上契約」どころかそもそもNHKの受信料を支払う義務がありません

「パソコンやスマホでの動画配信サブスクを利用すれば十分。テレビはいらない」

という方も最近は増えています。

パソコンやスマホは持っているけれどテレビは持っていないという場合も、やはりNHK受信料契約が成立しませんので、受信料は0円です。

【関連記事】:話題!ドン・キホーテの「チューナーレステレビ」3万2780円の「買い」な魅力2つ NHK受信料は?

契約変更の手続きはどうしたら良い?

ご自身に合う契約種別がわかり、現在の契約から変更したい場合は手続きを行いましょう。

地上契約→衛星契約」の手続きはNHKのサイトからウェブ上で行えます。

参照:NHK 衛星契約への変更のお手続き

しかし「衛星契約→地上契約」の場合は、特にウェブ上で手続きができるフォームの案内がありません

窓口へ電話で問い合わせの上、書面で手続きを進めることになりますので、まずは電話をしてみましょう。

参照:NHK 解約のお手続きや電話でのお手続きをご希望の方

間違えて契約したらペナルティはあるのか?

受信料の値下げのニュースとともに、もう1点話題にのぼったのが「割増金の導入」です。

NHK受信料の未払い者に対して「割増金」を請求できる制度が、2023年4月から導入されています。

未払いの内容が悪質と判断された場合に、NHKは未払いの2倍の割増金を請求できるというものです。

きちんと受信料を払っている人との公平性を担保するためだそうですが、なかなかおそろしいですね。

もし本来なら「衛星契約」をする必要がある人が、間違えて「地上契約」をしていた場合も、受信料の差額が未払いになってしまいますが、そもそもどちらの契約種別を選ぶべきかをNHKが厳密にジャッジできているわけではありません

最初に受信契約を結ぶ際に、「衛星契約」か「地上契約」のどちらかに契約者自身が当てはまると思う方へ丸をつけているだけで、受信環境の調査が必ずしも入るということではないのです。

しかし罰則が強化されたタイミングですから、自身の契約が正しいかどうか、いま1度契約内容を確認しておいた方が良いでしょう。

NHKは未払い者への罰則を強化中

まとめ払いや学割を活用しよう

NHKでは2023年10月以降、受信料の改定を行います。

いままで口座振替・クレジットカード支払で優遇されていた料金が一本化され、支払方法問わず安くなります。

支払方法 支払方法 値下げ前の月額料金 値下げ後の月額料金 月額の値下げ額 年間値下げ額
地上契約 口座振替 1,225円 1,100円 125円 1,500円
クレジット払い
継続振込など 1,275円 175円 2,100円
衛星契約 口座振替 2,170円 1,950円 220円 2,640円
クレジット払い
継続振込など 2,220円 270円 3,240円

また学割も拡充されるので、対象となる家族がいる方はぜひ活用しましょう。

まとめて支払った場合に料金が安くなる仕組みは継続されるので、月々の支払いに余裕がある場合にはまとめ払いによる割引も受けると良いでしょう。
現行料金でのまとめ払いによる優遇は、以下をご参照ください。
2か月払い 6か月前払い 12か月前払い
衛星契約 4,340円 1万2,430円 2万4,185円
1か月あたり2,170円 1か月あたり2,072円 1か月あたり2,015円
年間1,180円お得 年間1,855円お得
地上契約 2,450円 7,015円 1万3,650円
1か月あたり1,225円 1か月あたり1,169円 1か月あたり1,138円
年間670円お得 年間1,050円お得
2023年10月以降のまとめ払いによる割引内容の詳しい金額は、まだ発表されていませんので詳細を待ちましょう。
受信料の安くなる「地上契約」は魅力的ですが、適用される人は限られるため、地上契約を結びたい場合はご自身の受信環境と所有しているテレビの機能をよくチェックしてください。
「地上契約」が結べなかった場合でも、まとめ払いなどでNHKの受信料は安くなるのであわせて検討してみましょう。(執筆者:元地方テレビ局記者の主婦ライター 石田 彩子)