電気代をはじめとする光熱費の高騰が続きます。
電力会社の見直しも重要ですが、他にもできることがあります。
電力消費量自体を、省エネ性能の高い家電に買い替えて減らすのです。
環境のためにも大事な考え方です。
「まだ使えるからもったいない」と思うのも普通のことですが、ここに行政の補助があったらどうでしょうか。
1,400万人の東京都民のための施策「東京ゼロエミポイント」事業が延長されています。
2023年4月1日以降、付与ポイントアップ中です。
申請も難しいものではありません。
予算がなくなり次第終了なので、ぜひ今のうちにご検討ください。
目次
エアコンや冷蔵庫の買い替えだけでも電気代は安くなる
東京ゼロエミポイントの詳細の前に、家電を買い替えること自体の大きなメリットから確認します。
東京ゼロエミポイントの公式サイトによると、「10年前の家電を買い替えた際の電力消費量および代金の低減額」は、概算で次の通りです。
【冷蔵庫(定格内容積 401〜450L)】※大容量タイプ
・ 年間電力消費量 … 200kWh
・ 年間電気代 … 6,500円
【エアコン(冷房能力:2.8kW)】※10畳対応
・ 年間電力消費量 … 146kWh
・ 年間電気代 … 4,700円
新品の家電の価格相場も見ておきます。
・ エアコン(10畳対応) … 7万円程度(ただし上下幅は大きい)
・ 冷蔵庫(大容量) … 15万円程度
それぞれ相場価格で買い替えた場合、5年間の電気代削減だけで、家電の代金をこれだけ取り返せます。
・ エアコン(10畳対応) … 電気代削減2万3,500円で、価格の34%
・ 冷蔵庫(大容量) … 電気代削減3万2,500円で、価格の22%
それぞれ、10年よりさらに古いものなら、電気代削減効果も高くなるはずです。
ここに、東京ゼロエミポイントでもらえる商品券の価値が加わるわけです。
次に確認します。
東京ゼロエミポイントの概要
東京都民なら見逃せない、東京ゼロエミポイントについて見てみます。
老朽化した家電を買い替えるタイミングなら、ぜひ利用しましょう。
ただそれだけでなく、まだまだ使える家電でも、買い替えるのがエコかもしれません。
還元の対象製品は
東京ゼロエミポイントにより、東京都民(個人)が家電を買い替え、都内の住宅に設置すると、上記の商品券が発行されます。
対象となるのは次の家電のみです。
・ エアコン
・ 冷蔵庫
・ 給湯器(エコキュート、エコジョーズ、エコフィール、ハイブリッド給湯器)
・ LED照明器具(1人1台まで)
LED照明器具以外は申請の回数制限はないので、家中の家電を入れ替えても構いません。
家電買い替えに応じて、JTBナイスギフト等が還元される
名前の通り東京ゼロエミポイントは「ポイント」ですが、家電を買い替え申請すると、ポイント相当分が商品券で還元されます。
還元の内訳です。
・ JTBナイスギフト
・ LED割引券
LED割引券は、常に1,000円分です。
家電店で、LED照明器具・ランプを購入の際に使えます。
還元の大部分は、JTBナイスギフトです。商品券として人気を誇るJCBギフトカードと実質同じものです。
還元額
実際にもらえるポイント(商品券)ですが、特にエアコンについてやや複雑になっています。
少しでもわかりやすくするため、2023年4月1日以降に家電を購入するケースに限って見てみます。
還元額がその前よりアップしています。
以下の金額は、JTBナイスギフトと、1,000円分のLED割引券の合計額です。
【エアコン】
※省エネ効果の高い製品
・ 冷房能力2.2kW以下 … 1万5,000円
・ 冷房能力2.4〜2.8kW … 1万8,000円
・ 冷房能力3.6kW以上 … 2万3,000円
※上記以外の製品
・ 冷房能力2.2kW以下 … 9,000円
・ 冷房能力2.4〜2.8kW … 1万円
・ 冷房能力3.6kW以上 … 1万1,000円
省エネ効果の差が、還元額の差となります。
これは、「2022年10月1日以降の販売開始製品」の数字です。
9月以前の製品も新品として販売されていて、この場合も商品券付与の対象になりますが、基準が変わります。
複雑なので、後述します。
【冷蔵庫】
・ 定格内容積250リットル以下 … 1万4,000円
・ 定格内容積251〜500リットル … 1万6,000円
・ 定格内容積501リットル 以上 … 2万6,000円
【給湯器】
・ 1万2,000円
【LED照明器具】
・ 商品のみ … 4,000円
・ 取替作業含む … 6,000円
LEDシーリングライトなど、価格が4,000円程度のものもあります。
実質無料で設置できる場合もあるということです。
ただしLED照明器具のみ、「1人1台まで」のルールがあります。
家族が多ければ、家族の人数分申請すればいいでしょう(申請者の年齢は問いません)。
LEDに替えると照明の交換頻度が大きく下がるので、電気代だけでなく、通常コストの削減も大きなものです。
エアコンについて混乱する要素あり
2023年3月31日以前に家電を購入するケースについては、混乱回避のためこの記事ではあえて触れていません(還元額が下がります)。
エアコンについては、これと混乱しがちな日付の要素がまだひとつあり、こちらについては省略できません。ご注意ください。
エアコンの販売開始日です。
2022年10月1日以降か否か(例外あり)で、還元額の上下を決める基準が変わります。
還元額自体は変わりません。
商品券をもらうには申請が必要
省エネ家電を購入したらインターネットで申請します。
これ以外の方法(電話or書面)もありますが、電話は容易につながらず、書面は審査に時間が掛かります。
常識的に、東京ゼロエミポイントの公式サイトからネット申請するべきでしょう。
ネット申請の場合、アカウント登録が必要です。
必要書類は、エアコン・冷蔵庫のケースでは次の通りです。
・ 本人確認書類(免許証等)
・ 領収書
・ 保証書
・ 家電リサイクル券
・ 納品書等、設置場所住所がわかる書類
すべて写しでOKです。
廃棄する製品についての書類は「リサイクル券」のみで、その性能を確かめる手続きはありません。
このため、利用し始めて間のない商品の買い替えであっても、東京ゼロエミポイントの対象にはなります。
家電リサイクル券は、買い替えの際であれば販売業者からスムーズに受け取れます。
対象製品の性能
東京ゼロエミポイントの対象製品については、基準があります。
基準を満たさないと商品券ももらえません。
エアコン、冷蔵庫については次の通りです。
【エアコンのうち、2022年10月1日以降に販売を開始した製品】
・ 2.8kW以下 … 目標年度2027年度の多段階評価「★2」以上
(★3以上でさらに高ポイント)
・ 3.6kW以上 … 目標年度2027年度の多段階評価「★1」以上
(★1.5以上でさらに高ポイント)
【エアコンのうち、2022年9月30日以前に販売を開始した製品】
・ 目標年度2010年度の多段階評価「★2」以上
(★4以上でさらに高ポイント)
2022年10月1日以降の発売開始製品から基準が変わっています。
2022年9月30日以前の販売開始製品も購入しても構いませんが、基準が「目標年度2010年度の多段階評価」になる点にご注意ください。
基準は変わりますが、2段階の還元額のどちらに入るかが決まれば、還元額自体は変わりません。
【冷蔵庫】
・ 最新の省エネ基準に基づく省エネ基準達成率が100%以上であること
(省エネ性マークがグリーン色であること)
東京ゼロエミポイント公式サイトで、対象商品の検索ができます。事前に確認しましょう。
安く購入しても還元額は同じ
東京ゼロエミポイントは、製品の性能により還元のある仕組みです。
価格は関係ないので、安く買っても同額の還元が得られるわけです。
大手家電の系列クレジットカードでの決済等もお得になりますが、もうひとつおすすめです。
購入場所は東京都内に限らないので、間もなく始まる「かながわPay」第3弾を使うのもおすすめです。
次の神奈川県内家電量販店では、10%還元(かながわPayポイント)となります。
・ ビックカメラ
・ コジマビックカメラ
・ ノジマ
・ エディオン
買い替えのパフォーマンスを上げるためにチェックするポイント
大賞家電4種類のうち、複雑な構成となっているエアコンを例に見てみます。
エアコンを検討する際は、本体価格だけでなく、以下の点に着目しましょう。
・ 製品の販売開始日が2022年10月1日以降だと、基準が変わる
・ 冷房能力3段階のどこに該当するかを確認する
・ 冷房能力2.8kW以下の場合、目標年度2027年度の多段階評価が「3」以上だと高ポイント
・ 冷房能力3.6kW以下の場合、目標年度2027年度の多段階評価が「1.5」以上だと高ポイント
気になるエアコンを見つけたら、「商品コード 冷房能力」で検索すればおおむねすぐ冷房能力は把握できます。
「目標年度2027年度の多段階評価」については、東京ゼロエミポイントの公式サイト「対象商品検索」タブから検索できます。
さてエアコンを1台更新するとして、買い替える製品の条件が次の通りだとします。
・ 2022年10月1日以降の発売製品
・ 税込価格 … 12万円
・ 冷房能力 … 2.8kW(3段階あるうちの中間)
・ 目標年度2027年度の多段階評価 … ★3(省エネ効果が高い)
このケースだと、もらえる商品券は次の通りです。
・ 商品券1万7,000円
・ LED割引券1,000円分
さらに、10年程度利用のエアコンと入れ替えたという場合、年間4,700円の電気代削減も考慮に入れましょう。
それから、大手量販店の独自ポイントやかながわPayによる還元など、購入方法により10%程度の還元を付けることも可能です。
価格の10%と、5年間の削減電気代を併せると、3万5,500円です。
東京ゼロエミポイント還元を足すと合計5万3,500円で、結局代金の半分近くが5年で還元される計算となります。
東京ゼロエミポイントで安く家電の更新を
家電の買い替えで商品券を受け取れる、東京ゼロエミポイントについて見てきました。
東京都民なら、この機会にぜひ検討してみてください。
地球環境に優しい家電に替えて金銭的メリットがあればうれしいですね。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)