あるお客様からの質問です。
「最近日本の財政破綻の懸念から、雑誌などでは、そのうち日本国債の暴落が起こる可能性がある、と言われ始めているようです。
この場合の日本国債とは、私が持っている10年物の個人向け国債も、含まれるのでしょうか?
それとも、個人向け国債は、国債の中でも、特殊なもので、暴落の可能性は少ないのでしょうか?
厳密な定義ではなくてもよいので、大雑把に言ってどうなのかをお教えください」
「個人向け国債」を持っている方はたくさんいらっしゃるでしょう。
このメルマガでも「個人向け国債」を何度もご紹介しました。安全性の高い金融資産として。
特に、10年満期の変動金利型個人向け国債は、昨年夏から金利の設定方法が変更され、当面の適用金利が従来よりも高くなることから、安全性の高い金融商品として積極的にご推奨してきました。
個人向け国債を持っている方のなかには、「国債」という名前がついていることから、上記のお客様のような心配をしている方もいらっしゃるでしょう。
結論をいうと、「個人向け国債」に暴落の可能性は、まずありません。
なぜなら、個人だけに販売を限定した特殊な国債だからです。
ふつう「国債」というときには、「利付国債」のことを指します。
「個人向け」ではなく、個人以外の法人も購入することができる国債のことです。個人向けよりもずっとずっと発行量が多い。
満期(2年、5年、10年)まで金利が変わらない固定金利の国債です。
いつでも換金が可能ですが、換金するには、マーケットで売却する必要があるために、元本割れの可能性があります。
つまり、人気がなくて買ってくれる人が少ない場合、ディスカウントして売らないとお金に換えることができないのです。
「暴落の可能性」が指摘されているのは、この「利付国債」のこと。
国の財政が悪化すると、信用リスクが高まり、国債の人気がなくなります。
人気がなくなれば、価格が下がります
ムリして売ろうとすうと、値段を下げるしかありません。
この利付国債は、銀行や保険会社がたくさん保有しています。
利付国債は、不景気で融資先に困った銀行のお金のかっこうの投資先になっているのです。
いっぽう、個人向け国債は、購入後1年間の換金はできませんが、それを過ぎるといつでも可能です。
過去2回分の手取利息分が手数料として差し引かれますが、国債そのものは購入した値段で引き取ってもらえるため、元本割れにはなりません。
ということで、「個人向け国債」を持っている方は、ご安心ください。
とはいえ、ほんとうに「国が破綻」してしまったら、そうもいきません。
「個人向け国債」も「利付国債」も国の借金であることには変わりありません。
「ない袖は振れない」のは、個人でも会社でも国でも、どの世界でも同じです。