消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案について、民主、自民、公明の3党が合意したとのニュースが週末に入ってきました。事業仕分けによって増税なき財政再建を実現できると公約した民主党も、結局は現実路線に傾かざるを得なかったということです。
最近は「事業仕分けそのものを仕分けしろ」という言葉も良く聞こえてくるようになりました。増税は誰にとっても耳に聞こえの良い話ではありませんが、国民年金や国民健康保険といった現在の社会保障制度を維持するためには、増税以外に選択肢がないことは明らかです。
消費税率を10%に引き上げてもそれで問題が解決するわけではなく、現在の社会保障制度を維持するためには現時点で消費税を16%に引き上げる必要があり、民主党が主張する最低保障年金制度を導入するためには最終的に消費税率が20%を超える計算になるとのことです。また、税と社会保障の一体改革によって、消費税だけではなく、所得税と相続税も引き上げられる予定となっています。
民主党がやろうとしていることは「大きな政府」構想であり、マニュフェスト違反であることは明らかですが、政治家を責めたところで何も問題は解決しません。なぜここまで国家予算が膨張するのを許してしまったのか、これは国民全体の責任でもあります。
日本人の心の中から「親方日の丸」の意識がなくならない限り、これからも国家予算は膨張を続けていくことになるでしょう。増税が嫌なら、「小さな政府」を目指すべきです。つまり国家予算の中でも大きな金額を占める国民年金と国民健康保険を大幅に削減し、現在の社会保障制度を持続可能な制度に変えていくべきなのです。
ここ香港には、国民年金も国民健康保険もありませんが、皆がたくましく、家族が支えあって生きています。「老いては子に従え」が半ば常識化しており、成人した子供が年老いた親の面倒を見ることが当たり前の世の中です。日本では「老いても親に従う」子供が多すぎるので、社会の活性化を妨げる一因になっているのではないかと思います。
既に社会保障制度が導入されているOECD加盟国でも、各国政府が年金システムを持続可能な制度にするため、平均寿命の延びに合わせて年金支給年齢を遅らせる動きが加速しています。OECD加盟国の4割以上が支給開始年齢を67歳以上に引き上げることを計画しており、イタリアとデンマークは支給開始年齢を平均余命に連動させ、長期的に69歳にすることを検討しているとのことです。
世界一の長寿国である日本は、年金支給開始年齢を65歳に引き上げるだけでは不十分で、近い将来、70歳以上に引き上げざるを得なくなるでしょう。70歳まで健康で働ける自信があれば、それでも問題ないのかもしれませんが、少子高齢化と産業の空洞化が進む日本で、60歳以降も就職できる保障はありませんし、更なる増税が予想される子供達世代を頼りにするわけにもいかないと思いますので、自分の老後は自分で守る時代がやってきたと考えるのが賢明です。