2012年10月28日付け日経新聞朝刊で、「厚生労働省が廃止の検討を始めた厚生年金基金制度の改革案の骨格が27日、明らかになった。10年で制度を廃止するのが柱だ。厚年基金の加入企業には公的年金部分の積み立て不足を自助努力で解消するよう求めるものの、それでも不足額が生じた場合、厚生年金保険料で穴埋めする。厚労省は年末までに成案をまとめ、来年の通常国会への改革法案提出をめざす。」と報じられています。
良くサラリーマンの年金は3階建てと言われています。1階部分が国民全員が加入する国民年金、2階部分がサラリーマンが強制加入させられる厚生年金、3階部分が特定企業のサラリーマンが加入している企業年金です。
しかし、バブル崩壊後、20年以上も年金運用が低迷していたため、多くの企業年金が既に解散に追い込まれました。厚生労働省が管轄する厚生年金基金制度も「運用難から財政が悪化しており、2012年3月末時点で、厚年基金の半数にあたる287基金が積み立て不足に陥り、その総額は1.1兆円にのぼる。制度を存続しても財政健全化のメドがたたないことから、期限を区切って制度を廃止する。」と報じられています。
サラリーマンは3階建ての手厚い年金制度によって老後の生活を保障してもらうことと引き換えに、会社に終身雇用で奉公することを強制されていたにもかかわらず、既に年金の2階と3階部分が崩壊してしまった現状では、1階建ての国民年金しか持たない自営業者と変わらないことになり、いままで給与天引きされていた厚生年金と企業年金の保険料を自分で運用していた方がよっぽど良かったということになります。
1階の国民年金でさえ、低金利と賃金下落が続く現状では、支払った保険料に対して半分ぐらいの年金しか戻ってこないとの専門家による試算もあります。年金が支払った保険料の半分しかもらえないとすれば、仮に20歳~60歳まで毎月1万5千円の国民年金保険料を支払い続けていたとしても、60歳~80歳までもらえる年金も毎月1万5千円だけということになります。
いまの公的年金制度がこのまま続くとすれば、いまの30代~40代の人達が老後を迎えるとき、日本中に高齢者の浮浪者が溢れかえることになります。そのような景色を見たくはありませんが、もはや日本株式会社は崩壊した、自分と家族の老後は自分で守る時代がやって来たと考えるのが賢明です。