人気のある投資信託は分配型で、高分配率の投資信託が良く売られています。分配金の利回りが20%以上の投資信託も珍しくありません。でも、冷静に考えれば、おかしいと思えませんか。今は世界的に不況です。20%以上の運用利回りをコンスタントに出すことなど至難の技です。
実は、分配金の原資は利益だけではありません。投資した元本も分配金の原資になるのです。10しか運用収益が出ていないのに20の分配金があった場合、差額の10は、投資した元本を取り崩しているだけなのです。ですから、分配型の投資信託を購入するときには分配率で判断するのではなく、分配金も含めた上でのトータルリターンを見なければなりません。
例えば、1万円で購入した投資信託が1年後に値上がりして1万1千円になり、その間に分配金を500円受取ったとすると、トータルリターンは15%となります((1000円+500円)÷1万円=0.15 )。もし、分配金が1000円あっても投資信託が8000円に値下がりしてしまえばトータルリターンはマイナスになります。
2011年12月16日に行なわれた金融庁の第9回金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」の資料中のモーニングスターの資料にとても良い例が載っています。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/w_group/siryou/20111216/01.pdf
P9にアッシュモア新興国財産3分法F毎(レアル)の分配率とトータルリターン例が載っています。分配率は32.66%ですが、トータルリターンは-8.93%です。分配型投資信託を購入するときは分配率は無視するのが得策です。