本人が障害者でなくても扶養親族(または控除対象配偶者)が障害者に該当する場合、その本人の所得税の計算上所得控除として障害者控除が適用できます。この障害者控除は障害者1人につき27万円(特別障害者では40万円)ですが、同居特別障害者に該当する場合には1人につき75万円の所得控除となります(所得税法79条)。
夫婦2人に所得があり、それぞれの控除対象扶養親族となり得る者が障害者である場合、夫の所得税の計算上障害者控除を適用し、妻の所得税の計算上(その障害者に係る)扶養控除を適用するという方法を採りたいと思うことがあります。どちらか一方の所得から控除しきれない場合でしょう。
しかし、この方法は認められていません。所得税法79条2項で、「居住者の控除対象配偶者又は扶養親族が障害者である場合には、障害者控除する」となっています。つまり、その障害者を扶養親族とした者の所得の計算上その扶養親族の障害者控除をすることができるのみなのです。
この様なケースで疑義を感じる場合も多いのか所得税基本通達79-1にて、次のように確認的に言及しています(以下、抜粋)。障害者である控除対象配偶者又は控除対象扶養親族につき、一の居住者が配偶者控除又は扶養控除の規定の適用を受け、他の居住者が障害者控除の規定の適用を受けるようなことはできないことに留意する。(以下、所得税基本通達逐条解説より)
つまり、控除対象配偶者又は控除対象扶養親族が障害者に該当する場合の障害者控除と配偶者控除又は扶養控除とはいずれも同一の所得者についてだけ認められる。