数日前に,「ひろしま市民法律事務所」の名前の由来について書きました。「ひろしま」と「市民」については書きましたが,「法律事務所」について書くのを忘れたので,ちょっとご説明しましょう。
平成18年に,日弁連が,以下のような会規を定めました。
法律事務所等の名称等に関する規程
第三条
弁護士はその法律事務所に名称を付するときは事務所名称中に「法律事務所」の文字を用いなければならない。
この規程があるので,「法律事務所」の部分については,選択の余地がありません。この規程が定められる以前は,「○○法律センター」などといった名前の事務所もありましたが,改名を強いられました。
規制の趣旨は,弁護士の事務所と,そうでない事務所とを,名前から明確に区別できるように,というものだろうと思います。ただし,弁護士法人の場合は,「法律事務所」をつけなくてもよいようです(同規程20条2項)
一方,こういう法律があります。
弁護士法
第七十四条
弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
要するに,「法律事務所」というのは,弁護士の事務所ということです。「法務事務所」という,紛らわしい名前の事務所がありますが,これは弁護士の事務所ではありません。司法書士か,行政書士の事務所です。お間違いなきよう。
日本には,いろんな種類の法律専門職があって,線引きが明確でないところがあります。各士業の「業際」問題は,今後熾烈になっていくと思います。