徳政令とは、日本の鎌倉時代から室町時代にかけて、朝廷・幕府などが土倉などの債権者・金融業者に対して、債権放棄(債務免除)を命じた法令です。つまり、借金帳消しということです。同じことがいま、現代の日本で起ころうとしています。
国および地方の長期債務残高は900兆円を越え、借入金、政府短期証券を含む日本全体の債務残高は国民一人当たり950万円です。
少子高齢化で年金・医療など社会保障関係費は増える一方ですが、景気後退の長期化で税収が伸びる見込みはないため、赤字国債の発行額が対GDP比で220%を超えてしまい、いまのままでは今後数年以内に日本国債の大幅な格下げによる暴落が発生しても不思議ではありません。この状況を打開するためには、日本国の借金である赤字国債を帳消しにするほかありません。
本来ならば増税もしくは社会保障の大幅な削減によって赤字国債の発行額を減らし、財政再建を進めることが王道ですが、いずれの政策も国民に人気がないため、政治家も保身に走らざるを得ません。そこで安倍次期首相が推し進める「大胆な金融緩和」政策の登場です。円の発行量を増やし、人為的な物価上昇とインフレを作り出すことで、円の価値を下げてしまえば、借金を帳消しにするのと同じ効果が生まれます。
日本には勤勉な日本人がこつこつ貯めた1439兆円の個人金融資産があります。いまターゲットにされているのは、まさにこの個人金融資産です。1985年のプラザ合意まで1ドル235円だったことを考えると、大胆な金融緩和政策によって1ドル160円まで円安が進んでも不思議ではありません。つまり、円の価値が半分になり、日本の個人金融資産の半分が失われるということです。
私はいずれこうなる日を予想して準備してきたので、何も焦っていません。遂に来るべき日がやってきたという印象です。もしもまだ金融資産のほとんどが日本円の普通預金という方がいらっしゃいましたら、薄氷の上をスケートしているようなものだとお考え頂いた方が良いと思います。