新聞報道によると平成25年度税制改正で相続税・贈与税の改正事項の一つに「相続時精算課税制度の拡充」が入るようです(最もこれは平成24年度の社会保障・税一体改革で先送りされた項目の一つです)。
(以下、時事ドットコム 2013/01/14-20:03より引用)
さらに、高齢者が生前贈与する際に、死亡時の相続税と合算して課税額を減らせる「相続時精算課税制度」について、これまで子に限定したのを見直し、孫にも広げる方針。贈与側の年齢を65歳以上から60歳以上に引き下げた上で2500万円までを非課税とする。
(引用終わり)
現行では、受贈者(贈与を受けた者)がその贈与者(贈与した者)の推定相続人である直系卑属(注)で、贈与年の1月1日において20歳以上であるものが、同日において65歳以上の贈与者から贈与を受けた財産について、相続時精算課税の適用を受けることができます(相続税法第21条の9第1項)。
(注)通常は贈与者の子供、代襲相続が発生する場合は孫の場合あり
改正予定なのは上記の下線部分で
1.推定相続人である直系卑属(注)→孫も含める
2.同日において65歳以上の贈与者→同日において60歳以上の贈与者
とするようです。
ここで一つ問題となるのが上記1の贈与者の孫が相続時精算課税の適用を受けた場合のその後の相続税です。相続時精算課税の適用を受けた贈与財産は、その贈与者である被相続人に係る相続税の課税価格に全額含めて相続税を計算することになります(相続税法第21条の15,16)。
このとき、被相続人の孫の相続税の計算上は相続税法第18条の相続税額の2割加算の適用を受けてしまい、通常は税負担が重くなります。
相続時精算課税の適用を受けた孫を相続税額の2割加算の適用外にすることは恐らくないと思います。また相続時精算課税の適用を受けた者は、その贈与者からの贈与について相続時精算課税の適用を撤回することができないとされています(相続税法第21条の9第6項)。
さらに遺産に係る基礎控除額の縮小が見込まれることから、改正により贈与者の孫が相続時精算課税の適用を受けることができるようになっても、その後の相続税負担の分析等を行った上で実行するかどうかを慎重に検討することになるでしょう。