遺族年金が支給される要件とは
先日、「病気で働けなくなっても会社は辞めない方が良い!」と記事を書きました。大部分の会社員は健康保険に加入しているので、病気やけがで働けなくなっても傷病手当金が支給されるからです。
その記事で、主に遺族年金のお話をさせていただいたのですが、今回は遺族年金についてより詳しい話をしていきたいと思います。主に仕事以外で、業務外の事情で亡くなったことを想定して、お話したいと思います。特に、20代から50代などまだ若い世代が亡くなった時は、子供も独立していないと考えられ、遺族年金は重要です。
遺族年金には、国民年金制度から支給される遺族基礎年金と厚生年金制度から遺族厚生年金、共済年金制度(公務員)から遺族共済年金があります。遺族厚生年金や遺族共済年金は遺族基礎年金の上乗せの年金です。
大部分の会社員は、厚生年金に加入しています。(念のため給与明細で確認してください。) だから、会社員在職中にお亡くなりの場合は、例え1か月の保険料納付でも、遺族に遺族厚生 年金が支給されることとなるでしょう。
ただし、会社員を退職後に死亡の場合の遺族厚生年金には要件があります。退職後5年以内の死亡であること。死亡にかかる病気の初診日が会社員在職中にあること。 死亡日の前々月までの被保険者期間(国民年金+厚生年金)のうち、2/3以上の保険料納付済期間 や保険料免除期間、猶予期間があること。
国民年金で支給される遺族基礎年金にも同じ保険料納付要件があります。死亡日の前々月までの被保険者期間(国民年金+厚生年金)のうち、2/3以上の保険料納付済期間や保険料免除期間、猶予期間があること。2/3以上の保険料納付要件がなくても、当面は死亡日の前々月までの間に保険料納付済期間や保険料免除期間、猶予期間が1年あればよいのです。
遺族厚生年金を返還した会社員のご遺族の実例
前回の遺族厚生年金を返還した会社員のご遺族の場合にあてはめてみましょう。 退職(12月中旬)の5年以内(2月上旬)に死亡、がんの初診日は会社員在職中・・・ということで いったんは、遺族年金が支給されたそうです。
が、この会社員の方、30歳くらいまで保険料を滞納していたので、2/3以上の保険料納付要件を満たさない ことが後で年金事務所でわかり(遺族が請求したときにわからなかったのは、年金事務所のミスです。) 遺族年金返還ということになったのです。(いったん支給しておいてひどいお話です)
もし、この会社員の退職が12月中旬ではなく12月末日だったら?
厚生年金期間は入社日の当月から資格喪失日(退職日の翌日)の前月までを カウントするのです。12月中旬退職は前月の11月までの期間までしかカウントされないけど、 12月末日退職なら、12月までが厚生年金期間としてカウントされます。 (当然、保険料も12月分を払います。退職月に2か月分ひかれることとなるでしょう。)
給与の締日や厚生年金保険料納付の関係で12月中旬退職だったのかもしれません。 が、厚生年金期間を少しでも長くしたければ、末日退職の方が有利です。
ちなみに、妻が40歳以上だった場合に支給される、中高齢寡婦加算は、夫が死亡時在職中であるか、死亡時厚生年金に20年以上加入していたことが要件です。40代で夫が脱サラを考えているのなら、夫の万一を考えて、20年会社勤めをしてからの 脱サラの方が、安心??です。
遺族厚生年金を受けられる遺族は、1位に配偶者と子供、2位に父母、3位に孫、4位に祖父母となります。先順位者に受けられる権利が発生すると、後の順位の方は、遺族厚生年金を受けることはできません。
また、遺族基礎年金は、高校卒業(18歳後最初の3月31日)までのお子さんがいる妻に支給されます。現在は遺族基礎年金は夫には支給されません。2014年4月から、夫にも支給されるように法律が改正されました。