両親が離婚して別居していても親子は親子。母方に引き取られていたけれど、別居していた父親が死亡。こんな場合の、遺族年金について実例を挙げて確認してみたいと思います。
厚生年金と国民年金を合わせて25年以上かけてきた50代男性が亡くなった場合・・・この方、妻とは離婚しお子さんたちとは別居していました。離婚時養育費の約束はしていたけれど、死亡時点で養育費は支払われていなかったのです。(ここが重要ポイント)
父子間でどの程度音信があったのかは、定かでないのですが(ここも重要ポイントです。)、夫婦は離婚すれば他人でも親子は親子。遺族年金は元妻が手伝い、子供たちがそれぞれ請求することになりました。子どもたちは高校卒業前(18歳に達してから最初の3月31日まで)と思われます。
もし、離婚していなくて妻が請求した場合、遺族基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされて支給されたと思われますが。。。、
この未成年の子供たちに対し、社会保険庁から「遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取ることの遺族と認められないため遺族給付は支給しない」旨の処分が下されました。この子供たちは年齢要件(18歳に達してから最初の3月31日まで)は満たしており、収入(年収850万未満)や所得(655万5千円未満)も基準を満たしていたのですが、生計維持関係が認められないとのことで、年金事務所で支給が却下されてしまいました。
生計維持の条件。それは、(1)同居していること(留学、子どもが寮暮らしなどは除く)別居の場合、(2)養育費などの援助を受けていること (3)定期的に会ったりしていること。この、どれかの条件を満たさなければならないとされています。
(1)離婚して別居である。(2)養育費を受けてない (3)定期的に会っている具体的証拠がない。この3点で、遺族年金は却下されてしまいました。
請求した代理人(多分母親?)は、離婚したとき養育費は約束したのだから、支払われてないから生計維持関係にないというのはおかしい!と、いうことなのでしょう。社会保険審査官に審査請求(異議申し立てのこと)、社会保険審査会へ再審査請求(またまた異議申し立て)しましたが、やっぱり遺族年金は却下。
離婚後、約束した養育費を払わない、元妻や子と会おうともしない。不誠実な父親だと子どもたちが割を食うような判断ですね~。私も個人的にはおかしいと思います。こういう事態をなるべく防止するには、離婚するなら養育費と子供たちの定期的な交流を約束させて、払わないような不誠実な父親ほど会って請求する、そして、会ったり連絡を取ったりしたら、証拠を残す・・・ということでしょうか。
ただ、DV父親だったりしたら、こういうことも不可能でしょうし・・・。考えされられた、社会保険審査会の裁決でした。