磯野波平さんが散歩に出かけようとしたらお隣の伊佐坂先生に会いました。今日は、二人に国民年金の第1号被保険者と第2号被保険者の違いについて話してもらいましょう。
【設定】
磯野波平(第2号被保険者)
伊佐坂先生(第1号被保険者)
伊佐坂先生:「磯野さん、こんにちは~」
波平:「おや、先生。こんにちは」
伊佐坂先生:「お仕事はお忙しいですか?」
波平:「いや~まだ景気回復したとは言えませんな」
伊佐坂先生:「そうですか、お互い老後が不安ですね~」
波平:「全くです。年金だけでは安心出来ません」
伊佐坂先生:「でも私たち自由業(第1号被保険者)よりは、磯野さんのようなサラリーマン(第2号被保険者)の方が年金は多いでしょう」
波平:「確かに、我々サラリーマンは2階建ての年金って、よく言われてますな~」
伊佐坂先生:「そうでしょう。私は勤めに出たことがないものですから、ずっと国民年金のみの加入ですが、磯野さんは国民年金に厚生年金も加入されているから、老齢基礎年金と老齢厚生年金(障害基礎年金と障害厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金)があるんですね~」
波平:「そのようですな。しかし、厚生年金も我々の先輩達は60歳から貰っていたようですが、我々の世代では支給が開始される年齢も引き上げられていますぞ。かろうじて私は63歳から貰えますが、マスオ君達の世代の昭和36年4月2日以降生まれ(女子は昭和41年4月2日以降生まれ)の人からは、65歳からの支給になってるようです」
伊佐坂先生:「それは厳しい。私も60歳ですから保険料は納めなくてもよいのですが、実は若い頃に横着をしまして保険料を払っていない時期があったのです」
波平:「ほ~、先生にもそんな時代があったんですな~」
伊佐坂先生:「いや、全くお恥ずかしい次第です」
波平:「すると、本来20歳から60歳までの40年間より少ないって事ですかな」
伊佐坂先生:「はい、、、5年分未納ですので、35年間しか納めていません。ですから、満額をおよそ80万円(平成24年度:786,500円)とすると、80万÷40年×35年として、およそ70万しかありません」
波平:「それはちょっと心もとないですな、何かいい方法はないのですか」
伊佐坂先生:「そこで先日、年金事務所(以前の社会保険事務所)に行って相談に行ってきたのですが、任意加入って方法を教えてもらいました」
波平:「それはどんなものですかな」
伊佐坂先生:「はい、65歳まで加入できるようで、私のように受給額を増やす為や、25年の受給資格期間を満たす為に加入する制度のようです」
波平:「なるほど~、その制度を使えば未納分があっても解消できる訳ですな」
伊佐坂先生:「そういうことです。さらに、この制度を使っても受給資格期間を満たせない人は、70歳まで加入できる特例任意加入っていう制度もあるそうです」
波平:「ほ~、それは心強い」
伊佐坂先生:「ただ、そちらは昭和40年4月1日以前に生まれた人しか利用は出来ないようです」
波平:「色々と条件があるのですな」
伊佐坂先生:「そのようです。年金事務所では、もう一つの方法も教えてくれました。付加年金を利用する方法もあるそうです」
波平:「しかし、それにも条件がありそうですな」
伊佐坂先生:「はい、20歳以上65歳未満(65歳以上の特例任意加入者は納付不可)の人で、毎月400円の保険料を払う方法です」
波平:「では、その保険料を払う事によって、いくら貰える事になるんですかな」
伊佐坂先生:「はい、200円×付加年金保険料納付月数の額を老齢基礎年金に上乗せして受取る事ができるので、結局2年で元がとれる訳です」
波平:「なるほど~、それはお得な制度ですな」
伊佐坂先生:「えぇ、家内の軽(第1号被保険者)にもそれは利用させようと思います」
波平:「それはいいお考えですな。とにかく年金は複雑でなかなかわかりにくい。時々はこうして情報をやりとりして、失敗しない年金との付合い方を勉強していきたいものですな」
以上、二人の会話で気付いて頂きたい事は、第1号、第2号被保険者には相違点があり、それぞれの被保険者だけに存在する仕組みがある事です。両者の相違はまだまだたくさんありますが、その相違は年金のみの相違に留まらず、保険を検討する際にも必要な材料となります。
つまり、第1号被保険者と第2号被保険者といった環境も考慮した保険を考える事が必要なのです。