住宅購入をご検討の方は、どうしても「建物」に目が行きがちです。しかし、「土地」の「境界」のチェックを怠ると、将来困ったことになるということを、2回に分けてお届けします。
ある日、突然!境界で争うことに
A氏は、自宅の隣の遊休地を顔見知りであるB氏に売却しました。その際、自宅裏までの幅1mくらいの範囲も、家庭菜園の延長として無償で使わせる約束をしました。B氏からは秋になると収穫物のおすそ分けが届き、30年以上にわたって良好な人間関係が築かれていました。
ところが、B氏がお亡くなりになってしばらく経った頃、B氏の息子が、「お宅の軒先がウチの庭に越境しているから切ってくれ。」と言ってきました。A氏の土地であるにもかかわらず、境界で争うことになってしまったのです。
なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか?
なぜ、こんなことに?3つの理由
古来より人は、自分が所有する土地の範囲を明確にするために、立木や巨石、あるいは小川や道などを境界の目印にしてきました。ところが現代においては、次の3つの理由によって、そういう方法が通用しなくなってきたのです。
一つ目は地価高騰。今、日本で最も地価が高い場所は東京丸の内ビル前で、坪8,900万円です。このような場所であれば、わずか1センチの違いが数百万円、数千万円につながります。立木や巨石などでは決められません。
二つ目は土地形状の変化。長い年月の間に川の形そのものが変わってしまうこともあります。
三つ目は世代交代。お祖父様同士は毎日畑で顔を合わせて、お互いに境界を認識しています。しかし、お子様は東京で会社員をしていて境界のことは知らない、お孫様にいたっては畑を見たことすらないということがよくあります。何らかの事情でお孫様世代が境界確認をする必要が生じた場合、スムーズに決着できるのでしょうか?
不幸にも、境界争いが起きてしまうとどうなるのか。また、その解決法については次回にお伝えします。