「87.0%」 これはいったい何の数字でしょうか?
この数字は、生活費と住宅ローン返済費が可処分所得に占める割合です(注1)。
手取り収入のほとんどが、手元から消えてしまう方が多いといえます。このとき、残りの13%で貯金やいざという時の出費に備えることを考えると「何か起きたとき、住宅ローンが返せなくなったり、普段の生活が送れなくなるのではないか・・・」と不安になるでしょう。
終身雇用や昇給の見通しが立ちにくいなか、このような悩みをかかえる方はたくさんいらっしゃり、最近は「失業信用費用保険」を住宅ローンにつけるべきかというご相談をお受けする機会が多くなっています。
今回は、銀行での取り扱いも徐々に増えてきている「失業信用費用保険」の有効性について考えてみましょう。
住宅ローンの返済が免除される!?
この保険を契約しておくならば、会社都合など非自発的事由で失業したとき、毎月の返済を猶予もしくは一部軽減される、つまり住宅ローン返済に保険金が充当されるのです。
てん補期間は半年前後(通算36ヶ月前後)のものが、保険料は住宅ローン金利に年0.100%~年0.200%程度上乗せされるものがほとんどです(注2)。
例えば、年0.200%を失業信用費用保険料として返済額に含めて1年間支払った後に失業したならば、半年前後の住宅ローン返済に充当することを目的として、保険金が支払われます。
このように考えてみると、失業信用費用保険はとても有効だと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、当然のことながら、何十年も返済をした後に失業したとしても、またどれだけ失業期間が長引いたとしても、1回の失業につき半年前後分の返済額しか保障されません。
また、この保険はあくまで毎月の返済額を補うものです。住宅ローン返済以外の費用は、ご自身で用意しなければいけず、この保険で支払われる保険金で補うことはできないことを忘れてはいけません。
そのため、雇用や収入に不安があるならば、就業不能保険や収入保障保険など幅広く検討することが求められるでしょう。
(注1)
総務省 家計調査報告(家計収支編)ー平成24年平均速報結果の概況ー
住宅ローン返済世帯(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.htm(注2)
取扱金融機関によって、名称・保障内容は異なります。