今回は「養子の連れ子ではあるが、養親の直系卑属であるものについて、養子に代襲して養親を相続することができるか?」という問題を判例を元に考えてみたい。
下記に家系図を掲載するので見て頂きたい。状況としては被相続人Aの死亡により、後妻の Y が X2 の相続権について問題提起している。
原因は、X1とC男が養子縁組と同時に婚姻した日にちが、昭和39年2月25日であり、X2の出生は、養子縁組前の2月12日であること。そのため、既にC男が亡くなっていることから、その代襲者は X3だけであるとの主張。
判決は、X2は Aの養子である 亡Cの子であり、かつ、Aの直系卑属(X1の子)でもあるから、亡Cの代襲者として Aの遺産につき相続権があるとした。
判決についての解説
代襲相続とは、第一順位の相続人である子が相続開始以前に死亡または相続権を失ったときは、そのものの子がこれを代襲して相続人になる。代襲者が相続開始以前に死亡または相続権を失ったときは、その直系卑属が同様に代襲する。(民法887条2項但し書き)
そのため養子縁組後に出生した子については代襲相続できるが、養子縁組前に出生した子は代襲相続できないというのが一般論。
X2は 亡Cの養子縁組前の子であるから、亡Cを通して A とは親族関係が生じない。
従って Aの死亡による相続に関して 亡Cの代襲者にはなりえないとの考えもあるが、本件の場合、X2はその母X1を通してAの直系の孫であること。Aとの家族生活の上においては何ら差異のなかった姉妹が、亡父とA間の養子縁組届出の前に生まれたか後に生まれたかの一事によって、長女には相続権がなく二女にのみ相続権が生ずるとすることは不合理であるとの点から、相続権を認めた。(平成元年8月10日大阪高裁判決より)