私は金融畑を歩んできた者です。大学卒業と同時に証券会社に就職しました。その当時は、大量採用で一部の噂では国債販売の先兵になるとまで言われたことがありました。1998年末にその会社を早期退職し、その後は実家の不動産業や、保険の代理店などの仕事に従事してきました。金融一筋といえば言えなくもありませんが、長年の夢でしたFPの資格取得を機に新しく事務所を設けております。
こんな私が自戒の念を込めて申したいことは、まだまだ足らない金融リテラシー普及です。FPは本来このことを重視して活動すべきだと思います。金融商品の知識や隣接領域の知識が豊富でも基本となる考え方が育っていないと金融判断ができません。もっとFP協会もこの事実を正面から解決すべく、金融リテラシー普及に努力すべきです。私はこの機会を借りて若い人たちに老婆心ながら、いくつかの大事なことを話してみたいと思いました。
私の若い頃はパソコン・インターネットでの金融取引など夢のまた夢でした。個人に解放されたこのような環境がいかに重要かは言うまでもありません。今後益々進化の度を速めることでしょう。時代の発展を素直に喜んで欲しいと思います。
私には将来の社会の有り様を創造することができません。しかし、これらの道具ともいうべき環境を利用し活用するのは生身の人間そのものです。投資の世界はそれぞれの個人の判断が最も大切で、成果を生むためには、このことこそが重要なのです。
そうは言っても難しいことを言おうと思っているわけではありません。損得計算の正しい判断をして貰うということです。普段の投資判断に生かすべき基本となるものです。是非、このことを踏まえて考えてほしいと思います。
昨年、私はAIJ投資顧問の年金消失問題をきっかけに金融リテラシー普及の啓蒙活動として「ファイナンスセミナー」を開催してきましたが、この経験の糧もお話しできたらと思っています。ここで、寄稿させていただくチャンスに感謝しつつ、次回に最初にお話しようと考えているテーマは「割引現在価値」というものです。どうぞ、ご期待してください。