12年ぶりの予定利率改定により、各社の終身保険の保険料がこの4月2日以降契約分よりいっせいに値上げしました。だいたい低解約返戻金型終身で10%程度の値上げで、解約返戻率が落ちたり、また商品によっては配当を無配当に切り替えたり、高度障害保険料免除をなくしたり、と各社各様の対策がなされました。
しかし、皆が一斉に右を向いたときに、それに棹挿しまっすぐに前を向いている漢もいるもんですね。つまり、まだ値上げしてないしたたかな会社があるのです。
そもそも終身保険って何?
まず終身保険の機能を一通りおさらいしておきましょう。
(1) 死後整理資金をもっとも安く買うことができる金融商品。但し、男性は60歳、女性は65歳以降は死亡リスクが高いため保険料が急カーブで高くなります。加入するなら若いうちがお得です。
(2) 払込終了後、解約返戻金が100%を超え、ゆっくり右肩上がりにそのカーブが上昇していきます。任意の時期に一部もしくは全部解約することによって、貯蓄系金融商品として利用できます - 終身保険を「学資保険」的に使う方法です。
(3) 死亡・高度障害保険金の全部もしくは一部に代えて、その解約返戻金を原資に「年金移行」ができます。「確定年金」や「保証金額付終身年金」、「保証期間付夫婦年金」「定額保証付終身年金」等に無診査で移行できます。
(4) 急にお金が必要になったとき、解約返戻金の所定の範囲内で「契約者貸付」を利用できます。通常、無診査。いつ返済するかは自由だが、貸付金には利息がつきます。返済しない場合、解約返戻金から元利金を返済し、その結果保険が失効となるので注意。
踏ん張る”メットライフアリコの「つづけトク終身」”
2010年に発売されたメットライフアリコの低解約返戻金型終身保険「つづけトク終身」は、低解約返戻金型終身保険のパイオニアである、東京海上日動あんしん生命の「長割り終身」打倒を旗印に商品開発された終身保険です。
機能として特筆できるのは「積立利率は年1.85%を最低保障」、「10年毎に積立利率を更改する」点です。
この積立利率は利率更改日の前年9月から直近60ヶ月間に発行された10年国債の応募者利回りの平均値に0.8を乗じた率となるり、年1.85%を下限とし、年5%を上限としています。更改した利率は契約者へ連絡されます。
ライバルの東京海上日動あんしん生命「長割り終身」やNKSJひまわり生命「一生のお守り」等の低解約返戻金型終身保険は、今回の料率改訂で予定利率(※)がいっせいに1.5%に引き下げられたのに対して、メットライフアリコの「つづけトク終身」はそれに追随せず、1.85%を堅持しているのです。
※予定利率と積立利率は別物という話もあるのですが、基本的には同じ物として考えて良いでしょう。
同じ条件のもと、保険料を試算してみると…
長割り終身(東京海上日動あんしん生命) 5,907円/月
一生のお守り(NKSJひまわり生命) 5,844円/月
つずけトク終身(メットライフアリコ) 5,385円/月
という結果となりました。
ご注意頂きたいのは、メットライフアリコがいつまでも最低積立利率の改定をしないかというとそうではなく、いずれ他社に追随せざるを得ないのではないだろうか、という憶測です。終身保険にご興味ある方はお早めにご検討したほうが良いかもしれませんね。