昨年末の政権交代以降、堅調に推移してきた円安と株高。ところが、ここに来ての連日の乱高下に不安になったり安堵したりしている投資家や企業経営者が多く見受けられます。
しかし、これまでの結果が示すように安倍政権が掲げる一連の経済政策、通称アベノミクスが市場から歓迎されていることは明白です。株価や日本円の一時的な多少の上げ下げは実は全く問題ではありません。
ではアベノミクスは成功を収めるのでしょうか?これからが正念場でしょうが、我々一般消費者や投資家は状況がどのように変化しようともしなやかに対応できるよう備えておく必要があります。実際、不気味なのは将来の急激なインフレと金利の上昇だと心得るべきです。
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インフレと金利上昇が静かに進行中
インフレが消費者に及ぼす不利益については理解し易いでしょう。収入アップよりも物価上昇のペースが早くなれば生活苦になるのは目に見えています。過去十数年慢性的なデフレに悩まされてきた日本経済にしてみれば、「適度なインフレは経済成長にプラスに働く」という思惑があり、「年2%のインフレ・ターゲット」も設定されました。円安による輸入品や燃料価格の高騰もニュースになっています。
急激なインフレが起こるかどうかはともかく、ある程度のインフレは必ず起こるものと覚悟しておきましょう。
また、各報道によれば多くの金融機関が6月から住宅ローンの固定金利の利率の引き上げに踏み切るようです。既に長期金利(新発10年長期国債の利回り)は上がり始めており、その影響だと思われます。
長期金利の上昇とは将来の金利上昇が予想される場合に起きる現象で、市場への資金供給増という金融緩和策実施時によく見られます。変動金利や短期金利はまだそれほど影響を受けていませんが、今後の国際情勢やアベノミクスの舵取りによっては大幅な金利上昇もありえます。経済の常識として一般的に以下の流れがよく見られます。
インフレ→金利上昇により「得する人」
株や不動産などで資産を保有している人
→ 景気回復局面ではインフレを伴うことが多く資産価値の上昇が見込めるから
変額保険、変額個人年金保険や投資信託を保有している人
→ 株、債券、外貨等に効率的に分散投資されており実績が出やすいから
住宅ローンなど銀行からお金を借りている人(変動金利型ローンは除く)
→ インフレにより借入金の額が実質目減りするうえに、
借入時の相対的に低い利率で返済できるから他人からお金を借りている人
→ インフレにより債務価値(借りているお金の価値)が下がるから
外貨建て預金をしている人
→ 日本国内がインフレになると円に対して相対的に外貨高になりやすいから
インフレ→金利上昇により「損する人」
財産の大部分を現金で保有している人
→ インフレにより現金の価値が下がるから
銀行に預金をしている人(変動金利型金融商品は除く)
→ インフレ率>名目利率の場合、実質利回りはマイナスとなるから
他人にお金を貸している人
→ インフレにより債権価値(貸しているお金の価値)が下がるから
賃金や年金額が固定されている人
→ 実際に受け取る賃金額はインフレにより実質的な価値が下がるから
保険に入っている人(変額保険は除く)
→ インフレにより受け取る保険金額の実質的な価値が下がるから
国債などの債券を保有している人
→ 金利上昇により相対的に債券の利回りに魅力がなくなり価格が下落するから
日本円のみで外貨建て預金をしていない人
→ 日本国内がインフレになると外貨に対して相対的に円安になりやすいから
変動金利型住宅ローンを組んでいる人
→ 金利見直しの時期がくる度に貸付利率が上がるから