まずは以下の質問に答えてみてください。
「上がる」と答えた方→ 株式投資で市場に喰い物にされる可能性があります。十分注意しましょう。
「下がる」と答えた方→ 多少考え過ぎの感もありますが、鋭い嗅覚の持ち主です。少なくとも株式投資で大損はしないでしょう。
「影響なし」と答えた方→ 賢明な判断です。株価の性質についてよく理解しています。
もちろん株価に絶対の予測というものは存在しませんし、市場では一寸先は闇の中、何が起こるか分かりません。唯一間違いなく言えることは、市場は常に先読みをするということです。つまり、今後政府が新たな経済へのプラス材料となる政策を打ち出さないかぎり、株価が継続的に上がることは考えにくいでしょう。
ニュースや報道は株価にどう影響するか
通常、成果を出しつつある政権与党が選挙に勝てば、政権基盤が安定し、より強力に経済政策を推進できることが見込まれるため、株価は上がります。しかし、そうなるためにはある程度の「サプライズ」を伴っている必要があります。市場の予測としては参議院議員選挙での政権与党の圧勝は今のところ「織り込み済み」なので株価には影響しないと考えるのが妥当です。
経済用語でいうところの「織り込み済み」には、経済へのプラス材料のものとマイナス材料のものとがありますが、プラス材料が出尽くしてしまうと株価は一転下落となり、逆にマイナス材料が出尽くしてしまうと株価は上昇に転じます。以下、ニュースや報道に株価がどのように反応するのかまとめてみましょう。
株価急騰 株価上昇 株価高止まり 株価下落
サプライズ(悪い報道)→ 市場の失望持続→ 織り込み済み→ マイナス材料の出尽くし感
株価急落 株価下落 株価底打ち 株価上昇
今後は株価暴落の可能性も
これを昨今の経済状況に当てはめて考えてみましょう。
市場にとっての「サプライズ(良いニュース)」は、言うまでもなく昨年11月の野田首相(当時)の衆議院解散宣言です。民主党政権への失望、諦観が、自公政権誕生とアベノミクス効果への期待へと明確にシフトし、以後、株価は持続的な上昇気流に転じました。
「サプライズ」は市場にとって想定外の出来事ですが、テレビやネットを見て「なんとなくこれから景気がよくなるのかな」というのは分かると思います。
さて、問題なのはここからです。想定外(「サプライズ」)であったはずの出来事が、一旦想定内(「織り込み済み」)の出来事へと取って代わられれば、たとえそれが経済にとってプラスの材料であったとしても、新たな「サプライズ」が起きない限り株価は高止まりするということです。下手をすると市場が「もうプラスの材料は出尽くしたな」と諦め、一転株価下落の流れに陥ることもあり得ます。
特にこの過去半年間の株高は、実態経済を伴わない期待先行で動いてきましたので、「期待」→「織り込み済み」→「失望、諦め」となり、一気に暴落しないとも限りません。
また前回のコラムでも触れましたが、長期金利の上昇も市場にとっては懸念材料です。中長期的に見れば借入コストの負担が重くなるので、企業の設備投資や個人の住宅ローン借入に影響が出てくるでしょう。次回、消費者は何をすべきかについて考えていきましょう。