
よく「いつ遺言書を作ればいいのですか?」と質問されます。「今ですよ!」と答えることにしています。
だって人間いつ亡くなるかなんて分かりません。頭の中でモヤモヤ考えている今が遺言適齢期ではないでしょうか?
「だってうちは財産がない!」と言われますが、実は、相続財産のトラブルのうち、何と3割は1,000万円未満なんです。5,000万円以下も加えると、全体の74.2%がこの層となります。
ちなみに、争いが起きそうな1億円超は8%しかありません。(平成22年度 司法統計年表より)相続財産の多い、少ないが問題ではないのです。
また「法律で書いてあるんでしょ?」とも言われますが、民法という法律の906条に下記のように記載があります。
つまり、誰にどう分けるのかは、さまざまな考えで、どうにでも解釈できる、非常にあいまいな条文です。相続分の「割合」は決まっていても、具体的にどう分割するかは、条文では全く書かれていないことも、相続トラブルの大きな原因です。
そのための一番の予防策はズバリ「遺言書」です。遺言書で財産の分割方法を具体的に・・・例えば家は長男に、○○銀行の預金は二男にと指定しておけば、安心です。
また、今話題になっている相続税の基礎控除の縮小ですが、平成27年1月1日以後の相続から、次のとおり改正されます。
改正後:3000万円+600万円×法定相続人の数
つまり基礎控除が6割に縮小されました。基礎控除は、相続税の申告が必要になるかどうかのボーダーラインです。遺産が基礎控除以下の場合には、相続税の申告は必要ありません。しかし、遺産が基礎控除を超える場合には、相続税の申告が必要になります。
現状、相続税の申告割合は4%(100人亡くなると4人)程度となっています。この改正により、6%程度に上昇すると言われています。予測では相続税の改正で上昇するのはたったの2%程度です。つまり遺言書とは、「相続税対策」ではなく「相続トラブルを未然に防ぐ」ことが、大目的であることがお分かりいただけると思います。遺言書いつ書くの?今でしょう!
