
マーケット(相場)において、合理的に説明ができないけれども、経験則として「あると言われている価格の変動」を”アノマリー”と言います。私の30年近い投資経験においても、「一定の条件下において」かなりの確率で繰り返し再現される現象は確かに「ある」と感じています。本日は、私のアノマリーを活用した投資法をご紹介します。
私が考慮しているアノマリー
アノマリーには多くのものがありますが、私が株式投資をする上で考慮しているアノマリーです。
私にとって1年のスタートは10月。この時期、アメリカの投資信託(ミューチュアルファンド)は決算(10月末)に備え利益確定売りを行います。
翌月の11月末は、同じくアメリカのヘッジファンドの決算期。このため10月~11月にかけてアメリカの株価は軟調に推移しがちです。日本の株価もこれに引きづられる形で11月末に底値をつけるケースが多いです。
12月は個人の節税売り(損出し)がありますが、これは影響小。1月から株価は上昇をたどる年が多いです。まず、前年末の節税売りによる個人の買戻しがあります。
また、1月末から2月にかけては企業の第3四半期決算発表が続きます(一般的な3月決算会社の場合)。日本の企業は決算を保守的(堅く)に見積もる傾向が強く、年度決算のデータが出揃うこの時期にかけて決算を上方修正することが多いのです。これを市場も好感して株価が上がる傾向にあります。
そして大事なのは、アメリカの機関投資家の動き。
投資信託やヘッジファンドは、年明けから春にかけて買いを入れる傾向が多いと言われているのです。これはズバリ、10月~11月にかけて行った利益確定売りの買戻しと新規買い入れです。当然、アメリカの株価は堅調に推移しますし、日本株もこれに引きづられて春にかけて高値をつける傾向にあります。
3月には配当取りの買いも入りますがこれは一時的な現象。4月は新年度入りで機関投資家が新たなポジション(買い)を取る場合が多い。
そして5月は下げの月。
国内企業の決算発表が相次ぎますが、すでに決算の内容は株価に織り込まれている傾向が強く、市場は次年度の見通しを強く意識します。先に言ったとおり、日本の企業は決算を保守的に見積もる傾向が強く、次年度の見通しはこの時期、市場が期待するよりかなり低めの数値が多いです。このため失望売りが多いのです。
これにアメリカのヘッジファンドの半期決算の売りも加わり5月から6月にかけて株価は底値をつける傾向にあります。
私のアノマリー投資戦略
ここまで書けばもう結論は見えています。毎年12月末に「買い」、翌年5月の連休明けに「売る」。 そして夏場に買戻して10月までに売る。これを繰り返すわけです。
これは日経平均株価の過去5年間の動き。年によって多少のズレはありますが、秋から年末にかけて下落(赤の矢印)、年明けから春にかけて上昇(青の矢印)している傾向が分かります。
ただしこの投資法、「一定の条件下において」のみ成り立つことに注意が必要!
それは、海外の投資家の投資対象となりうる大型株、国際優良株において成り立つ方法であること。新興株や内需の小型株には適用できません。ただし、日経平均・TOPIXに連動するインデックス投信やETFには使える手法です。
もう1つは、投資環境が好調、または落ち着いている状態でのみ成り立つこと。リーマンショックやバブル崩壊など、投資インフラが崩壊している状況では通用しません。底値買いを狙ってへたに手を出すと「落ちるナイフを生手でつかむ」ことになります。ご注意ください。
今年はこの戦略、「期待できるのでは」と個人的には思っています。