目次
1.婚外子(非嫡出子)の相続分に「違憲」の判断が示される可能性
結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の相続分を、法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定の合憲性が争われた2件の遺産分割審判の特別抗告審は7月10日、最高裁大法廷で弁論を行い、結審した。
100年以上も前の明治時代から引き継がれた同規定をめぐっては、これまで最高裁大法廷が平成07年に合憲10人、違憲5人と意見は分かれましたが最終的に「合憲」と判断しました。その後の小法廷でも意見は分かれるものの「合憲」の判断を踏襲してきました。しかしながらこの規定に対する国内外の批判の声は高まっており、今秋にも「違憲」判断が示される可能性が出てきました。

2.背景には社会の変化が・・・
厚生労働省の人口動態統計では、全体の出生数における非嫡出子の割合は最高裁が「合憲」判断を示した平成07年の時点では1.2%でしたが、平成23年には2.2%(約2万3千人)と増加傾向にあります。
近年は社会情勢が複雑化しライフスタイルの変化や結婚観が変化している事、結婚したくても出来ないなどの事情を抱えている場合もあり、増加傾向にあるものと思われます。
欧米の先進国では非嫡出子の割合をみると、フランス44.3%(2002年)、ドイツ26.2%(2003年)など、日本を大きく上回る。同じような婚外子の規定を外国と比較すると、フランスでは1972年に相続について同一の権利を持つと法改正したほか、ドイツも1998年の改正で嫡出子と非嫡出子の区別を撤廃している。
その結果主要先進国でこの規定が残るのは日本だけとされ、1990年代以降、国連から格差是正を繰り返し求められてきた背景があります。
3.裁判所の勇気を持った判断に期待
「合憲」の判断には正式な婚姻の重要性を尊重するという考え方があり、一方「違憲」の判断には親が責任を負うことであって子供には何の責任も無いため 同一の相続分とすべきとする考え方が根底にあ ります。
いままでの裁判で婚外子の人は、「命の価値まで2分の1に削られるような気がする」・「子供のころからずっと肩身の狭い思いをしてきた」、法廷でそう訴えてきました。支援者からは「法の規定が婚外子を差別する風潮を生んでいる」と批判しています。
この判決は、法律にかかわる人々や何より相続分で悩んできた方々にとっては非常に影響が大きな裁判です。
私も大きな関心を持っていますが、個人的には正式な婚姻関係の重要性を尊重するという「合憲」の判断も十分に理解できますが、婚外子の子供には親を選択する余地もなく、何の責任も無いことから「違憲」の判断が出ること事を期待したいと思っています・・・