高齢期のトラブルを避けるために、「任意後見契約」「見守り契約」「死後事務委任契約」「公正証書遺言」を含めて、検討されることをお薦め致します。
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目次
(1)「財産管理等の委任契約」とは
・寝たきりや判断能力が低下したときに、日常の契約や事務手続きを第3者に代行してもらえる。
・金融機関などで本人の委任であることを証明できる
・委任を受けた者以外の者が財産を使い込んだりするのを防止できる
・入院中など必要なときだけ手続きを代行してもらえる
<注意点>
・ 本当に信頼できる相手を選ぶ。
・ 委任内容を限定する
・ ATMの引き出しや振込みの限度額を設定する
・ 公正証書を作成する
・ 財産の処分はできない。管理・保存のみ。
(2)「任意後見契約」とは
・ 本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自ら選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約のこと。
・公証人の作成する公正証書で結ばなければならない。
・本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをする。
・任意後見監督人を選任しないと、任意後見契約の効力は発生しません。
そのため家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てを、本人・配偶者・4親等以内の親族または任意後見受任者が行います。
任意後見契約書
第1条(契約の趣旨)
委任者 (以下「甲」という)は受任者 (以下「乙」という)に対し,任意後見契約に関する法律に基づき,同法4条第1項所定の要件に該当する状況となった場合における甲の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「後見事務」という)を委任し,乙はこれを受任する。
第2条(契約の発効)
1 前条の契約(以下「本契約」という)は,任意後見監督人が選任されたときからその効力を生ずる。
2 本契約締結後,甲が任意後見契約に関する法律第4条第1項所定の要件に該当する状況(精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況)になったときは,乙は,家庭裁判所に対し任意後見監督人の選任を請求しなければならない。
3 本契約効力発生後における甲と乙との間の法律関係については,任意後見契約に関する法律及び本契約に定めるもののほか,民法の規定に従う。
第3条(委任事務の範囲)
(3)「死後事務委任契約」とは
・自分が亡くなった後の葬儀やお墓のことなどが気になる方は、生前に第3者に依頼する方法があります。
・住んでいた住宅の賃貸契約の解約や水道ガスの停止手続きなどさまざまな手続きが必要となります。
・これらの手続きを委任する契約です。
<<財産管理等の委任契約と任意後見契約を同時に結ぶほうがよい>>
・どちらか一方だけだと本人の保護が十分にできない
・両方を契約することにより寝たきりや痴呆症に対応できる
・定期的に電話や訪問をして安否確認をする「見守り契約」もお勧めします。
・財産管理等の委任契約と任意後見契約を同時に結ぶことを「移行型」と呼びます。
・さらに 死亡した後の手続き(死後事務委任契約)も大事です。