まず、生命保険を活用した相続対策は、主に「遺産分割」対策・「納税資金」対策・「財産評価引下げ」対策とあり、なにも「相続税」対策だけではない。各対策について少し見ていきましょう。
目次
「遺産分割」対策
生命保険なら受取人を指定して財産を残すことができるので、被相続人(亡くなる方)は財産の分割を生前に調整することができる。
受取人は相続を放棄しても受け取ることができる。
代償分割の原資としても活用することができる。
また生命保険金の場合、現金とちがい受取人固有の財産のため、遺産分割協議の必要がいらない。ただし、相続人間に著しい不公平が生じる場合には、死亡保険金受取人固有の財産とみなされない可能性がある。
「納税資金」対策
相続財産に見合った納税資金がないとき、生命保険(死亡保険金)で納税資金を準備する。現金で相続税を納付することができれば、土地などの資産を売却せずに済む。
「財産評価引下げ」対策
生命保険金の非課税枠の活用により、相続税を軽減する。そもそも、「現金」と「生命(死亡)保険金」では、相続税評価額がちがう。
具体的に、法定相続人が配偶者と子供一人の場合で、相続財産1000万円を考えてみれば、現金の場合、そのまま相続税評価額も1000万円に対して、もし死亡保険金だと、相続税評価額はゼロである。理由は、生命保険の非課税金額(500万円×法定相続人の数)により軽減されるからである。
税制面での生命保険の必要性
次に、税制面での生命保険の必要性を考えてみる
そもそも、皆さん自身のケースで相続税が発生するのかを個別に考えてみる。
細かくは触れないが、まず「遺産に係る基礎控除範囲」以内なら非課税で相続税関係なし。
次に、配偶者や被相続人と同居していた相続人が居住用の土地を相続して住んだ場合の減額の特例(小規模宅地等の特例)で相続税評価額を最大80%減額にできる。
さらに、もし算出相続税額がある場合でも、特に「配偶者の税額軽減」措置があるので、かなり相続税額を減額又はゼロにできる。
個別詳細は税理士等の専門家に依頼すれば現時点の判断はできるが、問題は死亡時における将来の税制や不動産価格変動に配慮する必要性があるということ。
生命保険の活用法のまとめ
最後に、生命保険の活用法のまとめ
2) 非課税で関係ない方・・・税制面での活用効果なし。
3) 共通項目・・・代償分割などの原資として活用できる。残された遺族の生活費・教育費・老後の足しになる。
以上のようなことを参考にして、皆さん自身のケースで生命保険の必要性を考えて頂ければと思う。