9月に募集され、10月15日に発行された「個人向け国債変動10年」が、久しぶりに人気を集めています。「変動10年」は、満期が10年で半年に一度、世の中の金利の動向に合わせて金利が見直されるタイプの個人向け国債。年に4回、1月、4月、7月、10月に発行されています。
そもそも「債券」とは何か?・・を解説すると、私たち投資家が「債券」を購入するという形式で国や会社にお金を貸すことなんですね。国にお金を貸す場合「国債を買う」というんです。
10年満期の国債を100万円で買うと、10年後に100万円が戻ってきます。その間、半年ごとに利息が支払われます。普通、国債の金利は「固定金利」なんですが、「個人向け国債変動10年」だけは、半年に1度金利が見直される変動金利タイプなんです。
10月発行の「変動10年」は6,661億円売れており、前回7月発行分の2,966億円を大きく上回っています。販売額の水準としては、2006年以来、7年ぶりといいますから、今回発行の金利がよほど高かったのでしょうね?
否!!!!
それが、違うんです。人気のヒミツは、発行時の金利が高かったからではありません。ちなみに、10月発行分の金利は、0.51%(税引前)、前回、7月は、0.57%。その前の4月は、0.51%。今回は、前回7月よりも低く、前々回の4月と同じ水準です。つまり、人気のヒミツは、発行時の金利ではないんですね。
ではいったい何?
理由は、「金利先高感」。「これから金利が上がる可能性が高い」と多くの人が思っているからなんです。
アベノミクスにより、株価が上がり、円安が進行し、日本銀行が今後2年間で物価を2%くらい上げると宣言し、足元の景気が少しづつ回復してきています。物価も少し上昇し、今後、賃金も上昇するかもしれない、金利も上がりそうだとみんなが期待し始めています。その気持ちが、「変動10年」の売れ行きを伸ばしているのです。
「変動10年」は、発行時の金利が固定される「固定金利」ではなく、金利が上がれば国債の適用金利も上がります。したがって、金利上昇を予想する人に向いた商品なのです。
個人向け国債変動10年は、次回の募集は、12月。発行は、来年1月15日が予定されています。買える金融機関は、銀行、証券会社、郵便局など、ほとんどの金融機関です。興味のある方は、少しでも購入してみてはいかがでしょうか?
1万円単位で買うことができます。購入後1年間は換金できませんが、その後はいつでもお金に換えることができます。(ただし、直近2回分の手取り利息分が差し引かれるペナルティがあります)