皆様は、30年後の日本はどのようになっているかを想像できますでしょうか? 何となく、高齢者の多い街であることは容易に想像できることでしょう。もしかしたら・・・プラザ109(東急プラザ札幌)や秋葉原で働く従業員は、中高年高者ということになっているかもしれません。
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老後資金っていくら必要なの?
では、老後資金はいくらあれば足りるのでしょう?
数十年後の資金となると漠然とした答えしか出せないものですが、現在の高齢者生活で得られた調査報告書を参考にすると、およその数字は示すことが出来ます。生命保険文化センターの資料(2010年)によると、ゆとりある生活を送るには、ひと月あたり36.6万円で、一般世帯の生活平均だと26万の支出になります。
現役時代、会社員であった高齢無職世帯(夫婦)で平均すると、なんと毎月4万円弱の赤字との結果であるそうです。毎月4万だとすると 4万×12ヶ月×25年(65歳~90歳まで)=1200万円が不足が生じるのです。
つまり、貯蓄がないと厚生年金があっても資金が足りない状態になっていることから、年金額引き下げに対応できる資産作りが必要なのです。
親の常識を鵜呑みにすると危ない
昔の常識は当てになりません。なぜなら、昔の社会保障制度には介護保険料負担も無く、かつて老人医療費(70歳以上)の自己負担は無料であり、老後資金に対する知識を勉強しないでも生活に困ることがなかったからです。
総務省の国勢調査で2050年には、一人の高齢者を1.3人で支えるとことを考えると、給付抑制は強まり、年金支給の先延ばしも覚悟しておかなければならず、数百万円の貯金だけでは、老後は暮らしていけません。さらには、医療費の自己負担や、高額療養費の見直し案も示されたこともあり、先行きが明るいとは言い難いです。
高齢化社会の近未来では、労働者の減少も課題です。労働者の減少は、ハイテク機器を活用して労働を担わせるという声もありますが、所得の低い高齢者が介護を必要とした場合はどうなるのでしょうか。一家に一台は『介護ロボット』に介護を頼むことになるとしても、この費用は誰が負担してくれるのでしょうか?
社会保障の削減をしようとしている国に期待することはできません。ゆとりある老後資金を参考にすればで、3000万円の資金を追加して、4200万の自己資金は定年退職までに用意しておけば、最悪の条件になっても対処できそうです。
つまり、公的年金を合わせば、老後資金に1億円の資金があれば老後資金で心配することがなさそうです。『真面目に働いていれば何とかなる』という考えは、過去の言葉。無駄な消費はしないで、メリハリのある資金計画を立てて、専門家と相談しながら将来を考えてみることが大切だと思います。
「老後資金不足」にならないよう早めに準備しよう
コラムを読んでいる方は、老後資金不足が起きること念頭に置いて、貯蓄や運用で資産作りをスタートさせて下さい。時間があればあるほど、資産は貯めやすく、運用で多少失敗したとして損失を取り戻すチャンスは幾度も巡ってくるものです。
女性の平均寿命で考えて人生は90年とすれば、定年後の人生は25年。公的年金を未払いでいる方なら、自腹で年金分を貯蓄していかなければなりません。年金は、リスクの低い投資であり、税金で毎月1万5千円程度上乗せしてもらえているものです。投資した倍の金額が年金として返ってきますし、税制面でも優遇されているのです。
老後資金ショート「老後資金不足」にならないよう早めに考えていきましよう。(執筆者:村井 一則)