NISAと軽減税率の終了によって、いよいよ日本も貯蓄から投資への素地が整ったかに見えます。しかし、投資ということに積極的な個人は大変に盛り上がっていますが、私のまわりでも「ニーサ」って何? と未だに疑問を口にする人もいます。
結局、日本人はなんだかんだ言っても投資スタンスはイマイチ、やっぱり元本保証にこだわっている人が大多数というような印象を受けます。
統計によると、日本人の家計における資産構成のうち、不動産の占める割合は70%です。これに対して米国の家計資産のうち不動産比率はその3分の1の23%。ですから、日本人は投資信託をやらない、リスク商品に手を出したがらないというのは、必ずしも正しい表現ではないですね。
不動産というのは、証券化されて自由に売買できる「リート」ですら、まだまだ日本では発展途上の段階。取引量も少なく、価格変動幅も有価証券に比べてはるかに大きいリスク商品です。有価証券のバブルがはじけてから元に戻るまでは6四半期であるのに対して、リートは10四半期であると歴史的にも示されています。ましてや不動産の現物となるとさらに大きくなります。
そう考えると、超リスク資産である不動産に70%も投資しているので、残りはどうしても保守的にならざるを得ないため、やむを得ないのかもしれません。
しかし、ここで注意したいのは、元本保証は見た目、元本保証ですが、物価が上昇に転じると、収益率の目減りは避けられません。そして不動産の現物は簡単に換金できませんね。
私たちは、もう一度、分散投資について考える時が来ているようですよ。(執筆者:柴沼 直美)