1.経済的に一番厳しいのは”長期間働けない”こと
病気やケガが原因で長期間働けなくなった時、収入は大きなダメージを受ける。収入が大幅に減少しても、毎月のランニングコストが減るわけではありません。住宅ローン、生活費、教育費、各種保険料、税金などに加え、治療に要する入院・手術費、差額ベッド代、通院費、諸雑費、傷病によってはリハビリが必要な場合もあります。
死亡リスクに対しては、公的保障の「遺族年金」、民間保険として「生命保険」。入院や手術のリスクに対しては、公的保障の「健康保険」、民間保険として「医療保険」や「がん保険」、ケガによる入院、通院に対しては「傷害保険」。というように、死亡や入院・手術に対する保障は、公的なもの、民間のもの双方を合わせることにより、充分なリスクヘッジが可能。
だが、死亡には至らず、高度障害や障害等級にも該当せず、自宅療養しか選択肢がない場合など、仕事ができない状態を想像してみてください。実はこのようなケースが、経済的には一番厳しい状態となります。
病気やケガで働けなくなった場合の公的な保障、「傷病手当金」は1年半で打ち切られる。その後、障害年金の給付対象に該当しなければ、まったく収入がなくなるわけです。子供がまだ学生であり、住宅ローンを抱えているなどの場合は即、生活に窮することになります。
2.働けないリスクを担保する保険
このような状況のリスクを担保する保険が、生保の「就業不能保険」、損保の「長期所得補償保険」。生保では、ライフネット生命の「働く人への保険」、東京海上日動あんしん生命の「家計保障保険 就業不能保障プラン」など。損保では、日立キャピタル損保の「リビングエール」(医師向けには「ドクター長期収入補償保険」)
日本では就業不能に対する保障が、保険商品として販売され始めたのは、最近のことでありその加入率は0.1%にとどまっているのが現状。しかし、欧米では就業不能に対する保障保険はメジャー。特に米国では約3割が加入し、医療保険よりも加入率が高くなっています。
最近では、日本人の保険ニーズも明らかに死亡リスクより生存リスクに移行しています。生存リスクの中でも本当に必要な保障は、「頻繁に起こる小さな損失」の保障ではなく「めったに起こらないが、起こるとダメージが大きな損失」に備えるものではないでしょうか。(執筆者:釜口 博)