今月、本格的にスタートした少額投資非課税制度(NISA)。FRBの量的緩和縮小への警戒感から今年に入って株価は軟調なものの、NISAによる資金流入は順調なようです。
1月11日付けの日本経済新聞では、開始後1週間で買われた銘柄についての記事が掲載されていました。一方、ネット証券大手のSBI証券は、ホームページで週間ごとの買付高ランキングを発表しています。
これらを総合すると、武田薬品工業、キヤノン、みずほファイナンシャルグループ(FG)、ソフトバンク、トヨタ自動車等に人気が集まっているようです。
今日は私なりにNISAで買われる株の条件を探ってみました。
キーワードは、「配当利回りと時価総額」
先ほどの人気銘柄を聞いて、株の経験者ならピンとくるはずです。安定した大企業(時価総額の大きさ)、そして配当の高い企業ばかりです。
まず、時価総額3兆円以上の企業をスクリーニングしてみました。
太字がNISAで人気と言われている企業。ほとんどが上位25位以内に入っていることが分かります。
一方、こちらは配当利回りが2.5%以上、かつ時価総額が1兆円超の企業。19社中5社がNISAで人気と言われている銘柄です。(太字の企業)
そしてこの両方に名を連ねている武田薬品工業、キヤノン、みずほFG、NTTドコモ。この4社は特に高い人気を誇っています。
こうして見ると、配当利回りが高く(少なくとも2.5%以上、できれば3.5%以上)、かつ時価総額の大きい(少なくとも3兆円、理想的には7兆円以上)企業に注目すべきでしょう。配当も非課税になるというNISAの恩恵を受けやすく、かつ損失に弱い特徴から値下がりリスクが少ない企業を選ぶという点で、こうした選好はきわめて合理的と言えます。
今後注目の銘柄と株主優待銘柄
その意味では、人気銘柄上位には名を連ねていなかったものの、本田技研工業や三井住友FG、三井物産などの時価総額上位、それに両方の条件に名の挙がる日産自動車と日本たばこ産業。これらの企業も今後、NISAで買われる可能性が大いにあります。
一方、人気が出るのでは? と言われていた「株主優待銘柄」。今のところ人気として挙がっているのはイオンとマルハニチロホールディングスぐらい。株主優待は元来、非課税ですから、NISA買いの対象としてはあまり意味はありません。ただ、これまで株式投資をしていなかった人の入門銘柄と予想するのは「あり」かもしれません。
NISAの口座数は、1月15日現在で500万件程度に達したという推計があり、最終的には600万件にもなりそうです。仮に1年間の上限である百万円の半分、50万円が投資されるとすると、年内に600万件×50万円=3兆円の資金が市場に流れ込む可能性があります。
今後、株価の動向を見ながら、NISA資金の流れに注目したいものです。(執筆者:綾田 亨)