「出産後も働き続けたい」と決意した人にとって悩ましいのが保育園の問題です。「公立の保育園にはなかなか入れない」は常識のようですから、当然のことながら私立の保育園を探すことになりますが、それでも預け先が見つからない場合があります。
自分の仕事が好きだったというAさんは出産後も子育てしながら働き続けることを望んでいました。会社もそれを応援してくれたので、恵まれた環境だったようです。ところが、肝心の保育園が見つからない。探しに探したそうですが、見つからない。いつまでも会社に待ってもらうのも気が引けて、とうとう復帰を見送り退職したのだそうです。「やっぱり働き続けたかった」というのは、聞いていて切なくなりました。
これは10年以上前の話ですが、似たような話は今でも耳にします。「保活」などという言葉まで使われているようですから、状況はさらに厳しくなっているのかもしれません。それならば、あらゆる手を尽くして保育園を探すと同時に、保育園に入れなかった場合への対策も考えておきたいところです。
先日テレビを見ていると「公立なら保育料は3万円くらいだけれど、ここ(の保育園)では6万円かかります」と話をしている若いお母さんがいました。
差額は月3万円。年間36万円は大きな負担なのですが、フルタイムで働いていれば払えなくはないでしょう。それでは、もっと高い保育料の園しか空いていない場合はどうでしょう? 認可・不認可含めて保育園は全てダメでベビーシッターに依頼しなければならないとすればどうでしょう?
収入の多くが保育料に消えてしまうと、そこまでして働く必要があるのかと考えてしまいます。お金を使うことに罪悪感を覚えてしまう方は少なくありません。
でも、発想の転換が必要です。それは仕事を続けるための必要経費と考えればよいのです。一か月、一年で家計を見れば「もったいない」ことをしているような気になりますが、5年先、10年先をみれば妻も働いていることはプラスに働くはずです。長期間で家計を考えてみることも大切です。ちなみに、私たちファイナンシャルプランナーは将来を視野に入れるためにライフプランを立てています。
出産を機に仕事を辞めるという選択もありだと思いますが、Aさんのように今の仕事が好きならば働き続ける道を探してもよいのではないでしょうか。「必要経費」や「将来への投資」を家計に持ち込むという考え方もあるのだと参考にしていただけたら幸いです。(執筆者:森田 和子)